実は、人口の未来は予測ではない。「過去」の出生状況の投影である。 この1年間に生まれた子供の数をカウントすれば、20年後の20歳、30年後の30歳の人数はほぼ確実に言い当てられる。 人口の未来は過去に既定されている。そう言われると、試験の答案用紙を返してもらう落ちこぼれ学生の気分になる。「もっと勉強すればよかった」と、後悔してもあとの祭り。赤点の答案用紙を満点にする方法はない。 そういう意味で、2023年年頭の岸田首相の記者会見で飛び出した「異次元の少子化対策」という言葉は、皮肉だ。人口減少による社会への影響をチャラにするには、時間を巻き戻して対策を打つか(有効な対策があったのかは別として)、未来から100万人単位の20代30代を連れてくるしかない。必要なものはタイムマシン。それはたしかに「異次元」のレベルだ。 本書『未来の年表 業界大変化 瀬戸際の日本で起きること』は、2017年のベスト