NTTドコモが運営する電子マネーサービス「ドコモ口座」などを経由し、提携先の銀行の預金残高が不正に引き出される金融事故が発生して、金融サービスのセキュリティーが注目されている。キャッシュレスがより浸透している中国では、金融事故に対してどういった対策が取られているのか。システム、ユーザー体験、そして設計思想を通じて中国フィンテックサービスのセキュリティー対策を追った。 何重ものセキュリティーで守られている中国のスマートフォン決済は、その一方で事故は起きるものという想定で運用されている(写真/Shutterstock) 中国でキャッシュレス決済がはやった理由として「お札(現金)が信用されていなかったから」という意見を聞くことが間々ある。確かに中国では偽札が多く、銀行のみならず商店ですら紙幣鑑別機を備えていることが一般的だ。対して日本の商店では紙幣鑑別機を見かけることは稀(まれ)であるが(最近の