毎年この時期になると、「どうして日本の経済学者はノーベル賞が貰えないのか」とか、「受賞者は出そうなのか」という質問を受ける。他の科学と同じく、経済学でも、査読付きの学術雑誌に載る論文が業績だ。ゴルフには四大大会(全英,マスターズ,全米,全米プロ)があるが、経済学では誰もが認める五大誌というものがある。そのような権威ある学術雑誌に掲載された論文が安打だとすると、被引用回数が千以上ある論文はホームラン、万を越えれば満塁ホームラン。満塁ホームランがないと、まずノーベル賞は貰えない。内容の良い論文なら被引用回数が増えるのはその通りだが、営業努力も重要だ。学会にせっせと出席して、引用してくれそうな人をつかまえて自分の論文を宣伝する。あわよくば暗黙の引用同盟を結ぶ。博士論文の指導教官として弟子を育てれば、彼らは伝道師となる。このような営業活動は、人材が集積するアメリカに在住しなければ困難だ。優秀な大学