厚生労働省が9日公表した3月の毎月勤労統計調査で、物価変動を考慮した実質賃金は24カ月連続でマイナスとなり、過去最長を更新した。岸田文雄首相は「今年、物価上昇を上回る所得を必ず実現する」と話す。賃上げや定額減税の効果で、実質賃金は夏ごろにプラス圏に浮上しそうだが、仮に1ドル=170円まで円安が進むと、秋には再びマイナス圏に沈む恐れがある。 賃上げと減税効果に期待3月の実質賃金は前年同月比2・5%減と、2カ月連続で減少幅が拡大した。現金給与総額は増え続けているものの、それ以上に物価上昇の勢いが強い。 実質賃金のマイナスは、労働者の生活の苦しさを表す。岸田政権は物価上昇を上回る所得の実現を最重要課題の一つに掲げ、大幅な賃上げの実現を後押しすると同時に、6月から1人当たり4万円の所得税と住民税の減税を行い、可処分所得の増加を図っている。 こうした政策の後押しも踏まえ、多くの民間シンクタンクでは夏