日本銀行の安達誠司審議委員は29日、円安の加速・長期化によって消費者物価が早期に再上昇する可能性があるとし、利上げのペースを速めることもあり得るとの見解を示した。熊本県金融経済懇談会で講演した。 安達氏は、「円安が加速、もしくは長期化することで、想定しているよりも早いタイミングで消費者物価の上昇率が反転する可能性がある」と指摘。先行き持続的・安定的な物価上昇が2%を上回る可能性がより強まっている場合には、「利上げを行うことで金融緩和度合いを調整するペースを速める必要性があるかもしれない」と述べた。 日銀は3月に17年ぶりの利上げに踏み切ったが、物価上昇圧力の継続や外国為替市場での円安傾向を背景に、市場では日銀による早期の追加利上げや国債買い入れの減額に対する思惑が強まっている。安達氏は、物価目標の実現確度が一段と高まる中での円安進行は、利上げなどの政策アクションにつながり得るとの見解を示し