河野龍太郎・BNPパリバ証券チーフエコノミスト(以下、河野氏):(今起きているインフレが)財政インフレなのではないか、ということです。財政への信認低下が原因でインフレや金利上昇が起きているのだとすれば、金融政策を引き締めても、インフレが沈静化しない可能性があります。例えば米国は高いインフレ率が継続していることで、高いインフレ期待が長引くリスクもあります。 長く続いたゼロ金利時代に財政規律がすっかり弛緩(しかん)した現代民主主義社会の下では、市場の暴力的な歯止めなしには、拡張財政を抑えることが難しいのかもしれない。主要各国は、財政拡張+金融引き締め、という役割分担路線をとっていますが、財政拡張はインフレ圧力と金利上昇圧力を高めます。結果、日本では円安を通じて輸入物価上昇が続くでしょう。今後も輸入物価上昇による悪影響を拡張財政で吸収しようとすれば、いずれ財政膨張そのものが国内インフレや円安の要
Stephanie Kelton, “(When) Will the Rate Hikes Break Something?”, The Lens, Oct 8, 2022 米連邦準備制度理事会(FRB)は、何かが “壊れる”事態に陥るまで金利を上げ続けるのではないかという懸念が多くあがっている。私も同感だ。 金融市場の動向をフォローしている人なら、スコット・マイナード〔米投資運用会社グッゲンハイム・パートナーズ最高投資責任者(CIO)〕のような人々が「FRBは“何かが壊れる”(something breaks)まで利上げを続けるだろう」と言っているのを耳にしたことがあるに違いない。彼は以前から、FRBは米国経済の底力を示すために、後ろ向き(backward-looking)な価格(やその他の)シグナルに頼ることで、我々を危機へと導いていると主張してきた。もしFRBが現在市場が予想している
一人10万のコロナ給付金の分析が意外になされてないのは財務省にとって負けの政策だからだろう。民間のシンクタンク試算によれば3.5兆の経済効果でGDPを0.7%押し上げたらしい。国民にばらまくだけでGDPを押し上げるのだよ。緊縮財政… https://t.co/i0gIiaIfEV
ジェフリー・サックス(67)は、世界で最も有名な経済学者の一人だ。貧困やグローバリゼーションを取り上げた数々の著書は、コロンビア大学での研究活動と、気候変動との戦い方や持続可能な開発達成に向けた取り組み方に関する国連への助言活動の成果である。 このたび、サックスが気温41℃に達したマドリードを来訪した。なぜ地球温暖化との戦いに遅れが生じているのか、という問題について語るのにはうってつけだ。ウクライナの戦争にとらわれるのではなく、本当に優先すべき課題に取り組むべきだ、と彼は主張する。マドリードで開催された「スペイン・持続可能な開発ネットワーク」主催のイベントに出席したサックスに話を聞いた。 単純思考が引き起こす無駄遣い ──熱波のさなかのマドリードにきて、酷暑をひしひしと実感されていることと思います。どんな気持ちですか。 ええ、たしかに暑いですけど、ほかにもっとすごいところがありますからね。
円安が進むなか、日本銀行は異次元金融緩和を継続している。日銀は日米欧の中央銀行の中で唯一、利上げをしていないが、それで日本の景気がよくなるのだろうか。経営コンサルタントの大前研一氏が考察する。 * * * もともと私はマクロエコノミストの「円安は日本経済にとってプラス」という主張に反論してきた。近年の日本は輸出と輸入がほぼ均衡しているので、為替が円安と円高のどちらに振れても貿易収支にはほとんど関係ないからだ。 しかし、日本の輸出力は下がる一方で、昨年度は輸出額が85兆8785億円、輸入額が91兆2534億円と貿易収支は2年ぶりの赤字となった。今年度はいっそうの円安とエネルギーや穀物の価格上昇により、赤字拡大が確実な情勢だ。 この円安を加速させているのは日本銀行の黒田東彦総裁だ。いま米欧の中央銀行はインフレを抑制するために相次ぎ政策金利を引き上げている。アメリカのFRB(連邦準備制度理事会)
高インフレに苦しめられた1970年代の経済状況が戻ってくる──。そんな議論がこのところ多く聞かれる。筆者の住む英国では、5月の消費者物価指数が前年同月比で9.1%の上昇を記録。大規模な鉄道ストライキも大きなニュースとなっている。 だが70年代型経済の再来は本当に間近に迫っているのだろうか。それは賃金交渉と金融・財政政策がどうなるかでおおかた決まる。 ■カギを握る賃上げ交渉 労働者からの賃上げ要求が強まる中で焦点となっているのが、長期の期待インフレ率だ。米ミシガン大学の期待インフレ率調査は注目度の高い指標だが、6月上旬に発表された5年先の期待インフレ率は5月の3%から3.3%に跳ね上がった。懸念すべき動きであり、中長期ではインフレ沈静化の見通しを示す調査もあると論じる向き(筆者もその一人だ)には厳しいデータとなった。 足元では、期待インフレ率が実際に不安定化する危険は高まっている。そのため米
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