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作品発掘に関するmoerrariのブックマーク (6)

  • 奇跡が起きるのは思っているより多いのかもしれないという話

    俺は海沿いの街で暮らしていて、二日に一度くらいの割合で仕事が終わってから浜辺に焚き火台を出して一人で何時間も火を焚いているという、あんまり頭の良くない趣味を持っている。 職場から家に帰ってきて焚き火台と薪を持って浜まで行くと、始められるのがおおよそ19時過ぎで、何回もやっているくせに木が炭になる時間の感覚がいまいちつかめないのもあって、「俺はいま焚き火をやってるな」と実感できる数の薪を燃やしていると綺麗に燃え尽きるのが21時半ぐらい、それからようやく夕飯をべ始めるのでやっぱり馬鹿なんだと思う。 季節で日が落ちるのが遅いけれども、灯りのあまりない海岸なので、20時を過ぎるとかなり暗くなる。自動車が道路を行き交う音と海鳴りが聴こえる闇の中にいるのは俺だけ…では意外となくて、砂浜に降りてくる道のコンクリートで舗装された突端に、よく誰かが二人で座っていたりする。 それは必ずしも決まった人たちでは

    奇跡が起きるのは思っているより多いのかもしれないという話
    moerrari
    moerrari 2021/06/28
    文学的
  • 無言電話

    メールやLINEが普及してから、日常生活のなかで無言電話を受ける機会は格段に減ったと思う。それでもあの、電話の向こうで、誰かが息を潜めてじっとしているあの感じ、じっさいにそうしているかどうかは分からないのに、それでもやっぱり誰かいると思うあの、背筋がぞわずわする感じは、いまだに思い出す。 無言電話のあの気味悪さをわざわざ味わいたい人などまずいないだろうと思うが、母は無言電話を心待ちにしていた。毎年、いつ掛かってくるかわからない無言電話を受けられるようにするためだけに、家にいることが多かったと思う。 うちは姉と私の二人きょうだいで、姉は少し変わっていたと思う。今だったらいろいろな診断名がついたのかもしれないが、当時はそういうことを知っていた人が周りに誰もいなかった。家にいるときの姉はどこか天真爛漫なところがあって気前がよかったが、何か思い通りにならないことがあると癇癪を起こしたり、ふさぎ込ん

    無言電話
    moerrari
    moerrari 2021/06/26
    増田文学
  • ずっと夜で - megamouthの葬列

    入った会社はWebサービスをやっていた。アクセスカウンターとかレンタル掲示板みたいな、そういうプリミティブな感じのウェッブ。今でも化石みたいに残っているとこがあるよね。teacupとか。もうないか。 当時はそういうことをしている会社をASP(Application Service Provider)と呼んでいて、「うちはASP事業やってるんです」と言うと通りが良かった。 名刺代わりっていうのかな、何が出来るのか、うちはこんなに技術力あります、ってのをさ、運営しているWebサービスで表現するわけ。同業者が集まったらさ、世間話している風で、自分とこのサービス自慢しまくるんだよね。なんかこう、いやあ負荷高くて、この前もサーバー落ちてぇとか、うちのユーザーは中学生が多いんでぇとか、今で言うマウントの取り合いだよね。どこも流行ってないからさ、意味のわからないとこで競ってるんだよ。 プログラマ的にはA

    ずっと夜で - megamouthの葬列
    moerrari
    moerrari 2019/09/03
    「第○回増田文学賞受賞作品」のオビを付けたい文章。
  • 十五歳までにしておくべきこと - 傘をひらいて、空を

    私が中学生だったころ、誰かとつきあっている女の子は、ときどき自転車に乗らずに学校に来ていた。男の子の自転車の後ろに乗せてもらって帰るためだ。彼女たちは少しはずかしそうに、でもどこか誇らしげに、幼い「彼氏」の肩に手をかけて河川敷を走っていった。ときどきどちらかが何か言い、ふたりで笑っていた。何を話しているのかな、と私は思った。とってもうれしそうだ。私もいつかああいうことをするのかしら。 十九になったとき、仲の良かった男の子が川の近くに住んでいた。私は彼に訊いた。自転車もってる、あのね、自転車の後ろに乗せてほしいの、そういうのやってみたかったの。 彼は親切な男の子だったので、もちろんそうしてくれた。春の終わりの晴れた日の、風の弱いきれいな昼下がりに。でもそれはただの二人乗りだった。その日はただの春の日で、私たちがしたことはただのデートだった。 私はありがとうと言った。私はかなしかった。私はもう

    十五歳までにしておくべきこと - 傘をひらいて、空を
    moerrari
    moerrari 2018/09/24
    文学力
  • 裏日本昔話(ten) - カクヨム

    『裏カジノ』。存在は知っていても、行った事はないだけに、こういった体験談は面白い。特に、客側ではなく店側からの視点だけに。ボカしているだろうし、どこまで当かはわからないけど、妙に説得力がある。もっともっと続きが読みたくなります。

    裏日本昔話(ten) - カクヨム
    moerrari
    moerrari 2018/05/30
    読ませる。増田のホッテントリ、裏カジノで働いていた頃の思い出 第1話 池袋の地下にも3年 - https://anond.hatelabo.jp/20160530061848 より。
  • 旅行の荷造りだけをする

    趣味旅行かばんに荷物をつめている。旅行には行かない。 東急ハンズ、ダイソーなどで便利そうな道具を買う。そして旅行かばんに荷造りをする。そして便利なのかを評価する。旅行には行かない。 旅行代理店でパンフレットをもらってくる。説明は聞かない。その旅程を見て、かばんを選び、荷造りをする。旅行には行かない。 作り終わった旅行かばんを持って出かける。なにかを買うのではない。旅行かばんを手にしたり、引き歩いたりして、街を行く。これは旅行ではない。 駅で電車を待ってみる。いくつも待ってみる。空港まで行ってみる。かばんを手にして歩く。旅行じゃない。 帰宅して、荷解きをする。空になった旅行かばんをきれいにして片付ける。 まっしろなパスポートを見る。やっぱり旅行に行っていない。 いつだって、どこにでもいける。すぐにいける。その練習。あと、まだいかなくていいや、とわかるために。旅行には行かない。

    旅行の荷造りだけをする
    moerrari
    moerrari 2017/11/05
    一般紙コラムクォリティの増田文学。
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