「地球最初の生命はRNAワールドから生まれた」 圧倒的人気を誇るこのシナリオには、困った問題があります。生命が存在しない原始の地球でRNAの材料が正しくつながり「完成品」となる確率は、かぎりなくゼロに近いのです。ならば、生命はなぜできたのでしょうか? この難題を「神の仕業」とせず合理的に考えるために、著者が提唱するのが「生命起源」のセカンド・オピニオン。そのスリリングな解釈をわかりやすくまとめたのが、アストロバイオロジーの第一人者として知られる小林憲正氏の『生命と非生命のあいだ』です。今回から数回にわたって、本書から読みどころをご紹介していきます。 今回は考察の原点となるダーウィンの進化論と、その後の「生命はどこから生まれたか」議論の変遷を見ていきます。 ダーウィンのオリジナル概念ではなかった「進化」 1859年、チャールズ・ダーウィン(1809〜1882)は、ジョン・マレー出版社から『自