〔左から〕中国の次期トップとなる習近平、夫人の殺人スキャンダルにより失脚した薄熙来、現在の最高指導者・胡錦濤と、彼の忠臣で、習近平とトップ争いを続けた李克強〔PHOTO〕gettyimages 政敵を倒し、自らがのし上がるための自己主張、忠誠、謀略、密告、賄賂、裏切り・・・。中国の政治家は、上から下まで一年三百六十五日権力闘争に明け暮れる。 極めて形式的な選挙しか行われないので、どんな手段を使おうが、権力を奪取したら「官軍」であり、負ければ粛清される運命にある。日本の政治家のように、「選挙に落ちたらまた次に」などという悠長な世界ではないのだ。政治家として身を立てようとしたら、文字通り、上がるか殺られるかの二つに一つなのである。 幻に終わったクーデター 2012年3月、重慶市党委(共産党委員会)書記の薄熙来(63歳)は、一気に勝負に出る決意を固めた。 その1ヵ月前の2月6日、薄の腹心の部下だ