2021年、筆者がパリに移り住んだとき、街でよく見かけたのが「V」というロゴが入ったスニーカーだった。いまとなっては日本でも目にする、フランス発のスニーカーブランド「VEJA(ヴェジャ)」。VEJAの人気ぶりは知っていたものの、その背後にあるブランド哲学を知ったのは、もっとずっと後のことだった。 VEJAは、高校時代から友人同士だったという、フランス人であるセバスチャン・コップ氏とフランソワ=ギラン・モリヨン氏の2人によって立ち上げられたブランドだ。大学卒業後、国際金融の中心であるニューヨークで銀行員として働いていた彼らが、そこで感じたグローバリゼーションの問題を、スニーカーを通して見つめ直そうと立ち上げたのが、VEJAだった。 「VEJAを始めたとき、そのゴールはスニーカーをつくること、ではなく、スニーカーを“解体”することでした」 パリ10区にあるオフィスを訪ね、セバスチャン・コップ氏