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「会社を辞めるなら誓約書にサインしてね」 実際に起きた事件です。その誓約書には以下のシバリが。 退職後の1年間は競合他社に就職しない 違反すれば3か月分の給与の賠償金 もろもろの会社の損害を賠償するなど 会社を辞める時に「これにサインしてね」と上記のような誓約書を差し出されることが多いと思います。現在は転職が当たり前の時代となり、フリーランスとして羽ばたく方が増えているのでトラブルも増加する予感です。 この事件では会社が元従業員を提訴。「この誓約書に違反した!139万を払え!」と主張。結果は、従業員の勝訴です。裁判所は「この誓約書ダメよ。禁止の範囲ひろすぎ。公序良俗に反してるよ。無効」と判断(REI元従業員事件:東京地裁 R4.5.13)。 この事件のように、サインしたとしても禁止の範囲が広すぎればその誓約書をオジャンにできる可能性があります。以下、くわしく解説します。(弁護士・林 孝匡)
1月1日に起こった能登半島地震の影響はいまも続いている。 2月には、被害が大きかった石川県珠洲市でボランティアの人手不足が起こっていると報道された。3月には、ボランティア不足を解消するため、石川県輪島市の団体が全国の大学教授と協力して学生を受け入れる取り組みを始めた。 震災発生の当初、石川県は「受け入れ態勢が整っていない」として、ボランティアが個別に来ることは控えるよう呼びかけた。馳浩県知事も、1月5日の時点で「能登への不要不急の移動はくれぐれも控えてください」と自身のX(旧Twitter)アカウントに投稿している。被災地での本格的な受け入れが始まったのは、1月27日からだ。 現在のボランティア不足の背景には、SNSを中心に巻き起こった「ボランティア・バッシング」も影響しているだろう。災害当初から、SNSではボランティアが被災地に行くことを批判する声が広がっていた。 今回の地震では被災地の
弁護士JP 弁護士JPニュース 「思想の自由市場」は“キャンセルカルチャー”に対処できるか? SNS時代における「表現の自由」の考え方 「表現の自由」に関して、近年では「キャンセルカルチャー」が問題となることも多い。 キャンセルカルチャーとは、「社会的に好ましくない発言や行動をした」とされる特定の個人や企業を対象にしてSNSのユーザーなどが集団的な批判や不買運動、ボイコットを行うことで、その対象をメディアから排除させたり職業上・経営上のダメージを与えたりすることを目指す運動。 最近では、缶チューハイ「氷結無糖」の広告に起用された経済学者の成田悠輔氏が過去に発した「高齢者の集団自決」に関する言説が問題視されたことから不買運動が行われ、3月13日にキリンビール株式会社が広告を一部削除したことが「キャンセルカルチャーではないか」と問題視された。 現代における「思想の自由市場」論 キャンセルカルチ
4月3日、産経新聞出版から刊行された『トランスジェンダーになりたい少女たち SNS・学校・医療が煽る流行の悲劇』(アビゲイル・シュライアー、岩波朗ら監訳)は、当初からAmazonの「本の売れ筋ランキング」で総合1位になるなど、売れ行きは好調だ。 一方で、本書には出版前から批判が寄せられていた。また、出版後にも一部の書店や書籍通販サイトでは取り扱われていない。刊行直後には、本の内容に批判的な手作りの帯文(手書きPOP)が巻かれて販売されている書店があったことがX(旧Twitter)で話題になった。 出版社や書店に脅迫が行われたとの報道がなされたことからも「表現の自由が侵害されている」と懸念する声も多い。 他方で、「どの本を取り扱うかは書店の側の自由だ」「批判的な帯を巻くこともまた、表現の自由だ」とする声もある。 当初は他社から刊行予定 当初、本書は『あの子もトランスジェンダーになった SNS
ツイッターを離れて別のSNSを使用しても、「怒り」や「対立」からは逃れられないのか?(metamorworks / PIXTA) 2022年10月にイーロン・マスク氏が買収してから、「Twitter(現X)」は“劣化”したと言われ続けている。 差別発言やデマなどの監視がおろそかになり、収益化にともない「インプレッション稼ぎ」を狙うユーザーも増えたことから、「ヘイトスピーチやハラスメント、デマや偽情報が横行している」と問題視されている。 また、流行っているツイートに自動で返信する、「リプライゾンビ」とも呼ばれるボット(自動プログラム)のアカウントも目に見えて増加した。 マスク氏による買収に前後して、他のSNSにユーザーが移行する「ツイッター離れ」も目立つようになった。当初は分散型ソーシャルネットワークの「Mastodon」が注目され、その後はFacebookも運営するMeta社の「Threa
こんにちは。弁護士の林 孝匡です。 今回お届けするのは、会社が有休を取らせてくれず、娘の結婚式に参加できなかった男性の事件です。 Xさん 「ハワイでの結婚式に参加したいと言ったのですが、コロナ感染の危険を理由に有休を取らせてくれず、結婚式に参加できませんでした...」 Xさんは、定年退職後、会社に対して慰謝料300万円を請求しました。 ーー 裁判所さん、いかがですか? 裁判所 「会社の措置はOK」 Xさんの敗訴です。コロナという非常事態とはいえ、Xさんにとって酷な結果となりました。以下、詳しく解説します。(札幌地裁 R5.12.22) ※ 争いを簡略化した上で本質を損なわないよう一部フランクな会話に変換しています 当事者 ▼ 会社 ホテルを運営する会社 ▼ Xさん 部長(宿泊部) 事件の概要 ▼ 総支配人が渡航OKを出す コロナ感染が爆発していなかった令和元年10月ころ、Xさんは、総支配人
「淡麗グリーンラベル」ホームページより(https://www.kirin.co.jp/alcohol/beer/greenlabel/) 5月9日から放映スタートしたキリンビール「淡麗グリーンラベル」の新CMがわずか数日で放映中止となった。CMは星野源さんと多部未華子さんの初共演で注目されたが、草原に置かれた鳥かごから2羽のセキセイインコが飛び立つシーンが、一部の愛鳥家たちからTwitterなどで「不適切」と指摘されていた。 いったん放映が中止されたテレビCMだが、現在は当該シーンを削除した“修正版”の放映が再開されている。またキリンビールは週刊女性PRIMEの取材に対し「ご心配をおかけしたお客様には、深くお詫びいたします」と回答したという。 愛鳥家たちを“戦慄”させたもの 「かごの鳥」という言葉があるように、鳥かごは昔から“自由を束縛する象徴”としてとらえられてきたことから、創作物
厚生労働省によれば、国内における2021年度の人工妊娠中絶件数は年間12万6174件にのぼり、1日に300件以上の中絶が日本で行われたことになる(参考:厚生労働省「人工妊娠中絶件数及び実施率の年次推移」)。 今年4月、国内で初めて経口中絶薬(メフィーゴパック)が承認されたことは記憶に新しいが、そんな中絶問題に一石を投じた書籍『射精責任』(原著:ガブリエル・ブレア、翻訳:村井 理子)が、今話題になっている。 世界9カ国で翻訳され、アメリカではニューヨークタイムズ・ベストセラーに選ばれたこの書籍は、日本でも今年7月に刊行される前からSNSを中心に注目されていた。 本書が日本で発行に至った経緯や、SNSでの反響、翻訳出版を通して感じた日本とアメリカの違いなどを、編集者の藤澤千春さん(太田出版)に聞いた。 中絶問題の前に考えるべき、「望まない妊娠」 『射精責任』を知ったきっかけを教えてください。
2年前の2022年1月、特産品の漬物「いぶりがっこ」の産地で知られる秋田県横手市は危機感が充満していた。いぶりがっこ生産農家の高齢化に加え、食品衛生法改正により、その存続には基準に沿った設備導入のための高額な費用がかかることから、「潮時かも」と撤退する生産農家が大半を占めていたのだ。 当時、県のアンケートでは県内漬物生産者約300人のうち4割が「継続できない」と回答。こうした状況などを受け、「おばあちゃんの漬物ピンチ」「ふるさとの味存亡の危機」など、「いぶりがっこ」の町に降りかかった伝統の味の消滅危機は、センセーショナルに報じられた。 消滅危機報道から2年で状況一変 あれから2年。改正法に対応する経過措置終了の5月31日まで4カ月と迫る中、このまま秋田の伝統食は途絶えてしまうのか…。横手市に存在する約40人の「漬け手」と呼ばれる生産者で組織する「横手市いぶりがっこ活性化協議会」を取材すると
2024年(令和6年)1月18日、自身の罪が問われた刑事事件手続きにおける取り調べの際に検察官から罵倒や侮辱を受けたとして、国に対して損害賠償を請求する民事訴訟の本人尋問が行われ、原告である江口大和元弁護士が証言を行った。法廷では、実際の取り調べの内容を録画・録音した映像が再生された。 異例の「取り調べ映像」一般公開 2018年(平成30年)10月、弁護士として担当していた事件の関係者に虚偽の事実を供述するよう頼んだとして、江口元弁護士は犯人隠避教唆罪で横浜地検特別刑事部に逮捕される。江口氏は一貫して無罪を主張して黙秘権を行使し続けていたが、2023年(令和5年)の9月に有罪が確定し、懲役2年、執行猶予5年の判決が言い渡された。 この事件の取り調べの際に取調官の川村政史検事(横浜地検)から侮辱をされ、黙秘権や人格権を侵害する不法行為があったとして、2022年(令和4年)3月、江口氏は国に計
映画会社「東映株式会社」に勤務していた元社員の女性(20代)が、精神疾患を発症したのは就業中に受けたハラスメントと長時間労働を強いられたことが原因として、損害賠償と割増賃金の支払いを求めている民事訴訟の第一回口頭弁論が、3月15日、東京地方裁判所で行われた。 女性は意見陳述で「素晴らしい作品を作りたくて東映に入社したが、セクハラやパワハラ、長時間労働が当たり前の世界だという考え方があった。我慢しなければならないと思い込んで我慢していたが、冷静に考えておかしい。なぜ団体交渉でも解決できず、裁判にまでしなければならなかったのか。見て見ぬふりをしないでほしい」と時折声をふるわせながら裁判官に訴えた。 提訴までの経緯 2019年4月に東映に入社した女性は「テレビ企画制作部」に配属。 同年、テレビドラマ『相棒』などの制作現場で、年上の男性フリーランススタッフから「しつこくLINEやショートメッセージ
昨年から、埼玉県川口市で「在日クルド人」が犯罪を行ったり地域住民と軋轢(あつれき)を生じさせたりしているという問題がにわかに騒がれている。 東京との県境から荒川を挟んですぐの川口市の面積は約62平方キロメートル。人口は約60万人で、県庁所在地であるさいたま市に次いで県内2位。最近では「ガチ中華」で有名になっている西川口エリアには、中国人のほかにもクルド人を含む外国人が多く住んでいる。 その川口と隣接する蕨(わらび)市の面積は約5平方キロメートル。日本最小の「市」だ。人口は約7万5千人で、日本で最も人口密度が高い都市でもある。そして、川口市と同じく蕨市にもクルド人が多く住んでいる。 「在日クルド人と共に HEVAL」は蕨市・川口市を中心に活動するボランティア団体。HEVALとはクルド語で「友達」を意味する。代表である温井立央氏の本業は編集者であり、2016年に蕨市所在の出版社「合同会社さわら
SNSやブログで言論活動を行う、いわゆる「ネット論客」による名誉毀損行為が問題視されている。 県職員に33万円、元非常勤講師に220万円の損害賠償支払いが命じられる 4月8日、徳島県は、県立海部病院の主任を務める37歳の男性職員が「地方公務員の信用を失墜させる」行為を行ったとして、減給2か月の懲戒処分にしたことを発表した。 男性職員はX(旧Twitter)を中心に「青識亜論」というアカウント名で活動していた人物 職場や就職活動で女性がヒールのある靴の着用を強制されることに異議を唱える「#KuToo」活動を行っていた俳優の石川優実さんに対して、名誉毀損や侮辱にあたる内容を投稿したとして損害賠償請求を提起され、2023年7月に東京地裁が33万円の損害賠償の支払いを命じる。2024年2月、男性職員が支払いを受諾することで、東京高裁で和解が成立した。 4月18日には、同じくXを中心に「永観堂雁琳」
ビッグモーターの保険金不正請求および街路樹問題、旧ジャニーズ事務所の性加害問題、宝塚歌劇団の長時間労働およびパワハラ問題など、2023年は組織のあり方そのものを揺るがすような不祥事が次々と発生した。 企業法務に詳しい杉山大介弁護士は「法律的な話題も多い年だった」と振り返る。編集部では杉山弁護士に、印象に残った不祥事を1位〜10位までランキング化してもらった。 ランキングを見ると、こんなにも多くの不祥事がわずか1年の間に起きたのかと、改めて驚くかもしれない。 10位:老舗旅館「大丸別荘」大浴場の湯を“年2回”しか交換せず 福岡県筑紫野市の二日市温泉にある老舗旅館が、県の条例で本来は週に1回以上すべての湯を入れ替えなければならないところ、年に2回の休館日にしか交換していなかった。さらには消毒用の塩素も注入しておらず、基準値を最大3700倍上回るレジオネラ菌が検出されたとして22年12月に県から
近江八幡警察署が、いなり寿司を万引したという窃盗容疑で74歳女性を誤認逮捕し、82時間にわたり身柄拘束したことが発覚した。女性は精神的苦痛を受けたとのことである。この件について、女性は金銭的な補償・賠償を請求することはできるか。請求が認められるとしてどのくらいの金額を請求できるのか。 「被疑者補償規程」で最大5万円の補償 まず、本件女性が無条件で金銭的補償を受けられる手段はあるのか。荒川香遥弁護士(弁護士法人ダーウィン法律事務所代表)に聞いた。 「無実の罪で身柄拘束された人に対する補償については、法務省の『被疑者補償規程』で定められています。 本件の女性も、この『被疑者補償規程』に基づいて1日あたり1000円~1万2500円のお金を受け取ることができます。4日ならば最高で5万円です。 ちなみに、刑事裁判にかけられてから無罪になった場合は『刑事補償制度』の対象です。金額は被疑者補償規程と同じ
フランス国旗の赤色があらわす「友愛」の理念は、終末期医療にも関わる(georgemphoto / PIXTA) 3月10日、フランスのエマニュエル・マクロン大統領は現地の新聞2紙(ラ・クロワとリベラシオン)の独占記者会見において、新しい終末期医療に関する法律を「友愛の法」と特徴づけた。 ※盛永氏へのインタビュー記事はこちら:安楽死の合法化で「滑り坂」が起きる? 安楽死制度を選択するオランダ社会の背景にある「自己決定権」を倫理学者が解説 なぜ終末期医療に関する法律が「友愛の法」なのか 周知のようにフランス国旗は青、白、赤の3色からなり、それぞれフランス革命の理念を象徴しているとされる。 青は自由、白は平等、赤は友愛を表す。マクロン大統領は終末期の新法を「友愛の法」という。それはなぜだろうか。 以下では、フランスの生命倫理の動きについて簡潔に見てみよう。 フランスは、2005年成立のレオネッテ
『少女革命ウテナ』や『輪るピングドラム』などの作品で知られる、アニメーション監督幾原邦彦氏が原告となった「トレパク冤罪」被害訴訟の判決が12月13日、東京地方裁判所立川支部で言い渡され、被告の女性に対し、名誉毀損および業務妨害に関する慰謝料121万円の支払いが命じられた。 被告はTwitter社がDMCA※申請に応じたことが、盗作の事実を示しているなどと主張していたが棄却。原告側の主張がほぼ認められた形となった。 ※デジタルミレニアム著作権法(米)のこと。盗用コンテンツをWebサイトに投稿したプロバイダーに対して、著作権保有者が著作権侵害の申し立てを行う。 原告の同監督と平野敬弁護士は同日、霞が関の司法記者クラブの会見を行った。 繰り返される嫌がらせ…判決までの経緯 幾原監督は2022年、アニメ関係者の知人らと音楽バンドを結成。そのバンドの宣伝イラストをTwitter(現・X)に投稿したと
銃刀法違反の改正案が閣議決定し、国会での早期の法案審議、可決・成立を目指している。 改正案では新たに拳銃等から他の鉄砲全てが「発射罪」の対象となるなど、”抜け穴”をふさぎ、厳罰化が鮮明だ。 自作銃についても、3Dプリンター用の設計図や自作方法の解説動画および、そのあおり動画も対象となる。銃所持に関連するリスク要因を包括的に取り締まる内容といえるが、そこに穴はないのか。 「過去に何度か行われた改正の中でも今回は画期的といえる内容でしょう」。銃専門家の津田哲也氏は今回の改正案をそう評価した。なにが画期的なのか。 「これまでは問題に対して後追いの対応ばかりだったんです。事件が起これば、その事件に使用された銃砲刀剣類だけを対象に規制を強化する、というパターンです。ところが今回の改正案では、まだ犯罪に使用された例のないものにまで対象が拡げられており、警察の本気度を感じます」(津田氏) 将来脅威となり
ジャーナリスト、ラッパーとして活躍する「大袈裟太郎(※1)」こと猪股東吾さん(40)が名誉棄損などで産経新聞社を訴えた裁判の判決が12月8日に東京地裁で言い渡され、産経新聞社に22万円(弁護士費用2万円を含む。請求額は110万円)の支払いが命じられた。 (※1)1982年東京生まれ。音楽家・アーティストとして活動するほか、ドラマ『池袋ウエストゲートパーク』や園子温監督映画『TOKYO TRIBE』などにも出演。2016年ごろから政治活動を開始し、現在は沖縄を拠点にジャーナリストとして活動している。 那覇支局長の署名入り記事が発端 裁判の発端となったのは、2017年11月10日に産経新聞社がインターネットで公開した「辺野古で逮捕された『大袈裟太郎』容疑者、基地容認派も知る“有名人”だった」と題する記事。 記事公開の前日、猪股さんは名護市辺野古で行われた基地反対運動の抗議行動中に逮捕されている
トランスジェンダー女性の公衆浴場やトイレの利用を巡り、SNSを中心にヘイトが広がっていることを受けて、当事者団体と弁護士が16日に記者会見を開いた。 「心は女性」=「女湯に入れる」という誤解 LGBT関連新法の整備に向けた議論が進む中、一部で「LGBT差別禁止法や理解増進法が成立した場合、『心が女性だ』と主張する人を女湯に入れなければ法律違反になる」という話が広まっていることについて、⽴⽯結夏弁護士は「誤解です」ときっぱり否定する。 「法案を見れば明らかですが、差別禁止法にしろ理解増進法にしろ、現行法上の権利を変更するものではありません。すでに認められた性的マイノリティの権利を明確にするものに過ぎず、新法が成立したからといって、直ちにトランスジェンダー女性を女湯に入れなければ法律違反になるとは、およそ考えられません」(立石弁護士) そもそもほとんどのトランスジェンダー当事者は、自身が公衆浴
2月10日、93歳であったオランダのドリス・ファン・アフト元首相は同い年のユージェニー夫人と共に生涯を閉じた。どちらも病気を患っていたファン・アウト夫妻が選択したのは、自宅で二人一緒に安楽死することだった。 オランダをはじめとして、カナダやスイス、アメリカの一部の州に最近ではエクアドルなど、諸外国では「安楽死」「支援自死」が合法化(一定の条件を満たしていた場合、犯罪とされない)されている。「日本でも他の国にならって安楽死を合法化しよう」という論調も、近年ではますます盛んだ。 その一方で、合法化された国では安楽死の対象がどんどん拡大してしまい、本心では死を望んでいない人や子どもにまで安楽死が行われる事態が発生している、と報道されることもある。 最初は特定の条件(適格条件)を満たした場合の安楽死のみを認めていたが、合法化されたことを契機に徐々に条件が緩和されていき、障がい者や要介護者などの社会
今年3月に放送された英国放送協会(以下、BBC)のジャニーズ事務所創業者である故・ジャニー喜多川氏による所属タレントへの性加害報道は世間に衝撃を与えた。 BBCの報道以降、長年ジャニー氏による性加害問題の追及を続けてきた『週刊文春』は再び同問題の追及キャンペーンを展開。同誌において顔出し、実名告発を行ったジャニー氏による性加害被害者であるカウアン・オカモト氏が4月に日本外国特派員協会において記者会見を行うと、長年この問題を黙殺し続けてきたメディアの一部はようやくジャニー氏の性加害について報じ始めることとなった――。 これまで、マスコミ業界のタブーとして存在していたジャニー氏による性加害の実態を23年間にわたり追い続けてきた元『週刊文春』記者でジャーナリストの中村竜太郎氏がジャニーズ問題の本質とこれまでの経緯について改めて振り返る(インタビュー・全2回 前編※【後編】「いまだにやっていたのか
Xさん 「残業代を払ってください。560万円」 会社 「無理です。あなたは裁量労働でしょ」 「残業代は発生しないです」 ーーー 裁判所さん、どうですか? 裁判所 「Xさんに裁量労働は適用できないね」 「耳そろえて全額はらえ〜」 裁量労働は、社員にとって自由に働けるメリットもあるんですが、残業代が発生しないデメリットもあります。 会社の認識不足で裁量労働制を採用しているケースもあれば…、「グフフ。働かせ放題にしてやる!」と搾取している会社もあります。 裁量労働制を適用できるケースについて解説します。裁判になった事件とともに分かりやすくお届けします(エーディーディー事件:大阪高裁 H24.7.27)(弁護士・林 孝匡) 。 ※ 裁判を一部抜粋、判決の本質を損なわないよう一部フランクな会話に変換しています 登場人物 ━━━━━━━━━━━━━━━━━ ▼ 会社 ━━━━━━━━━━━━━━━━━
死者5人、入院者数は延べ212人(7日時点、厚労省発表)になるなど、関連が疑われる被害者数が増え続ける小林製薬の紅麴サプリメント被害。因果関係はいまだ不明だが、効能効果をパッケージに記載できる「機能性表示食品」がサプリメント市場を底上げ。完全とはいえない制度のままで利用者が増大し、結果的に被害を大きくしたとの見方もある。メーカーで医薬品の薬理安全性や機能性食品研究に従事した経験もあり、機能性食品学を専門分野とする芝浦工大・越阪部奈緒美教授に、制度の問題点や制度を活用した健康食品のリスクなどについて聞いた。 機能性が表示された「食品」として流通していた これまでに多くの被害が報告されている小林製薬の紅麹サプリメント。被害との因果関係の解明が急がれるなか、「プベルル酸」原因説なども浮上しているが、越阪部教授は同社の”紅麹サプリメント”そのものに着目している。 「紅麹(ベニコウジ)は、厚労省の食
日本最難関の試験とも言われる“司法試験”。合格率30~40%程度とされているが、司法試験に挑むためには法科大学院を修了するか、事前に合格率3~4%の予備試験に合格する必要がある。 2022年(令和4年)、史上最年少の17歳11か月(受験時)で司法試験に合格した学生が、灘高校に在籍していた仲西皓輝(なかにし・こうき)さんだ。日本数学オリンピックへの出場経験もあるという“理系少年”が、なぜ司法試験を受験することになったのだろうか。現在、東京大学に通う仲西さんに話を聞いた。 “宇宙”が司法試験へのきっかけだった? 「小学生の頃の夢は医者でした。でも手先が不器用で、ちょっと向いていないかも…とも思っていました」。 照れくさそうに話す仲西さんは兵庫県出身。小学生の頃から算数と理科が好きな生粋の“理系”で、冒頭の言葉の通り医者を志していた。 父親の勧めで中学受験を決めたというが、「自分のできる範囲で上
麻薬密輸によってマレーシアで死刑判決を受けた日本人女性が、近く最高裁に再審請求するとの報道が、今年9月に話題となった。 「海外は日本に比べて薬物に甘い」というイメージを持っている人も少なくないかもしれないが、実際には甘いどころか、国によっては最高で死刑や無期懲役といった重い刑罰が科せられる場合があり、2010年には中国で日本人4人が、麻薬密輸の罪により死刑執行されている。また最新の死刑統計(アムネスティ・インターナショナル)によれば、2022年に世界で執行された死刑のうち、37%が薬物関連犯罪によるものだったという。 アメリカで大麻を使用すると“永久に”入国できなくなる? 死刑や無期懲役までいかずとも、「海外は薬物に甘い」というイメージが大きな落とし穴となるケースもある。もっとも意外な国のひとつが「アメリカ合衆国」だろう。 「アメリカ国内で外国人が違法薬物を使用した場合、永久に入国できなく
こんにちは。弁護士の林 孝匡です。指示待ち社員に退場(解雇)宣告した事件を解説します。 ーー 仕事をえり好みするお荷物社員だったとか? 会社 「自分の苦手な仕事を積極的に取りにいかないんです。基本的に指示待ちですし、ほかの社員をサポートすることもほぼせず、『私の担当領域の仕事を会社が振らないんだから積極性を発揮できるわけがない』などと言い出しました。最終的に解雇しました」 ーー 裁判所さん、いかがですか? 裁判所 「解雇OK! Xさんの考え方は偏屈だ」 (アクセンチュア事件:東京地裁 H30.9.27) 能力不足で解雇OKになるケースは少ないんですが、積極性がカナリ欠如していれば解雇OKになることがあります。以下、詳しく解説します。 ※ 争いを簡略化した上で本質を損なわないよう一部フランクな会話に変換しています 登場人物 ▼ 会社 ・コンピューターソフトウェアの制作販売などを行う会社 ▼
年端も行かぬ幼い子どもを性の対象とする「小児性愛」の問題は、性をタブー視する日本社会のなかでも特に忌避され社会的議論につながってこなかった。 しかし近年、故ジャニー喜多川氏による男児への性加害が明らかになったほか、塾講師をはじめ教師やベビー(キッズ)シッターなど、子どもにとって身近な大人による加害行為も表面化してきた。 本連載では、小児性愛障害と診断され、子どもへの性加害を起こした者への治療に取り組む斉藤章佳氏(精神保健福祉士・社会福祉士)が、治療やカウンセリングを通じ実感した加害者特有の「認知の歪み」について解説する。 最終回は、世界で共有されつつある児童ポルノの危険性と、日本に存在している“規制の抜け道”の実態を紹介する。(全5回) ※ この記事は、斉藤章佳氏による書籍『「小児性愛」という病――それは、愛ではない』(ブックマン社)より一部抜粋・構成しています。 画像を見るだけではあきた
弁護士JP 弁護士JPニュース 公衆浴場は「身体的な特徴」で利用 厚労省が通知、当事者団体は合意済も「トランス女性」へ“筋違いなヘイト”絶たず 最高裁が先月25日に「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律」(以下、特例法)の「生殖不能要件」(3条1項4号規定)が憲法13条に違反していると判断した後、特に女性トイレや公衆浴場など「女性スペース」の利用をめぐってトランスジェンダー女性に対するヘイトが巻き起こっていることなどを受け、LGBT法連合会が27日、厚生労働省で記者会見を開いた。 自称すれば「女性スペース」利用できるわけではない 性別の変更には、医師の診断書のほか、特例法3条1項が定める以下5要件が必要だ。 1号:18歳以上であること 2号:現に婚姻をしていないこと 3号:現に未成年の子がいないこと 4号:生殖腺せんがないこと又は生殖腺の機能を永続的に欠く状態にあること(いわゆる
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