「いまだから言えるけど東大の大学院に入ったのは、どうしても研究したいことがあったから、ではないんですよ。起業をサポートしてくれて、しかもエンジニアがいっぱい集まっているという環境があったから」 そう言って笑う施井泰平は、スタートバーン株式会社の代表取締役であり、「泰平」名義で活動する現代美術家だ。多摩美術大学で油絵を学び、卒業後、インターネット時代のアートをテーマに創作活動を開始した。 そのなかで、「アートの世界はアナログすぎる」「テクノロジーを駆使してインフラを整えなければ、アーティストがアートで生きていけない」と感じるようになった。 ひとりのアーティストとして作品をつくるだけではなく、アーティストが適正な評価を受ける土壌をつくる、という創作活動に火がついたのだ。アート市場に多くの人が参入できる民主化された世界にするために何が