■相補的な二冊 先週は、東浩紀氏の新著『弱いつながり』*1の書評を書かせていただいたわけだが、本書とほぼ同じタイミングで出版された、ジャーナリストの佐々木俊尚氏の『自分でつくるセーフティネット』*2を同時に読んでいて、正直唖然としてしまった。まったく同じ時期に出てきた新著がこれほどまでに相補的というのは、実際ただならぬものを感じずにはいられない。 但し、両書を読んでいただけばわかることだが、東、佐々木両氏の問題意識の所在はかなり異なる。やや乱暴に言えば、東氏が、『知の閉塞感』『蛸壺化』に主たる関心があるのに対して、佐々木氏は、共同体が崩壊しつつある現代における、個人によるセーフティネットの再構築を主題としている。それなのに、両書が相補的に見えてしまうのには、はっきりした理由がある。それぞれの抱える問題の解決策の中核に、インターネットを介在とした『弱いつながり』のメリット、社会学における『弱