小学校、中学校、高校と、多くの先生に出会ってきた。厳しい先生もいれば、優しい先生もいた。中には変わった先生もいたけれど、その中に一人、今でも忘れられない人がいる。それは中学の国語の先生だった。 その先生はいつもみすぼらしい格好をしていて、いかにも気弱そうだった。まったくもって教え方が上手くなかった。というよりも、そもそも人に話を聞いてもらう才能が圧倒的に欠けていた。声が小さく、何を話しているかもよくわからなかった。30人弱のクラスの中で、まともに話を聞いていたのは5人もいなかったかもしれない。 僕の中学校は本当に田舎にあって、そんな環境で育ったからか同級生たちは真っ直ぐな連中ばかりだったと思う。先生のことは「~先生」とちゃんと先生を付けて呼ぶ真面目な生徒が大半で、たまにちょっとヤンチャぶった連中が苗字で呼び捨てにして呼んだりすることはあったけれど、それは思春期の頃にちょっと目立ちたいと思っ