新元号「令和」の「令」について、「命令」の「令」として捉える人が多いように思えた。確かに辞書などを引くとその意味が最初に来るので自然な理解とも言えるだろう。私のように昭和と平成を同じくらい生きた人だと、この字は、「年齢」の「齢」の代用字として以前使っていたことなども思い出す。戦後、日本はGHQの指導で漢字をできるだけ減らし、また簡易化する流れにあったが、パソコンが普及してからは、漢字利用が盛り返してきた。年齢を示す「歳」の字も、以前は代用字の「才」がよく使われていたものだった。 さて、「令」という漢字自体の意味は何かだが、まず、これは会意字として理解されることが多い。会意というのは、その漢字を構成するパーツが意味を持ちそれを組み合わせたものだ。基本的に、パーツは音声に関係しない。 会意字として「令」は「亼(逆さまの口)」+「卩(人の跪く姿)」として、「逆さまの口がひざまずいた人に話す・お告
毎年4月1日のブログには馬鹿話を書くのが恒例だった。今年も結局そんなことになるだろう。 さて、新元号が決まった。蓋が開いてみれば、なるほどという思いと、意外という思いがあいなかばというところだった。 予想していたかというと、予想できなかった。新元号名はローマ字でKで始まる音から選ばれるとして絞り込んでしまったのが、敗因というか、失敗だった。明治・大正・昭和・平成としてM・T・S・Hなので、濁音は嫌うだろうし、Nは紛らわしいので、KかRだろうと予想したが、Rは日本語になじまないだろうと思ってしまった。 まったく予想できなかったかというと、蓋を開けてみればわかるが、出典に万葉集が来ることは予想可能だった。3月19日朝日新聞『新元号、初めて日本の古典由来に? 漢籍とのダブル説も』のような誘導はあった。 今回の改元で政府は、複数の国書の専門家に内々の考案を依頼。政府が数案に絞り込む前の段階の20案
4月1日に政府が発表した新元号「令和」は、日本最古の和歌集である「万葉集」の出典だという。しかし、中国の古典に詳しい一部ネットユーザーからは、中国の詩文集「文選」(もんぜん)までさらにさかのぼれるのではないかという声が上がっている。 万葉集巻五「梅花歌三十二首」には、詩歌の背景や趣旨を説明する「題詞」の中に「于時初春令月 氣淑風和」(時に、初春の令月にして、気淑く風和ぎ)という語句があり、「令和」はこれを出典としたとしている。 しかし、これと似た漢文が、万葉集(780年頃成立)以前の中国の詩文集「文選」(530年頃成立)にある。 文選巻十五に収められた、後漢の文学者であり科学者の張衡(ちょうこう)が詠んだ「帰田賦」には、「於是仲春令月 時和氣清」(これにおいて、仲春の令月、時は和し気は清む)とある。 「ブリタニカ国際大百科事典小項目事典」や「大辞林 第三版」によれば、「日本に早くから伝わり
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