とある男とは、また別の男の話。 90年代後半。男はギターロックが好きだった。ちょっとポップな、弾ける感じのギターロック。 日々ラジオやロキノンを漁って、素敵な音楽を探していた。 ある日、小さなレコードショップの試聴機で聞いた歌声と歌詞に感銘を受けた。 「これは素敵な僕のバンドを見つけた!」と思った。 BUMP OF CHICKEN? ハイラインレコーズか、さすがだな! 聞いたことの無いバンドだ。また、こんなバンドに出会えた! アルバムを買った。ランプ、ガラスのブルース、K、続・くだらない唄、アルエ、やばいやばいやばい! ライブがあるとのことで、十三ファンタンゴに駆けつけた。泣いた。笑った。叫んだ。泣いた。 「十三ファンタンゴもいいライブハウスだけど、もうちょっと大きなところでやりたい。クワトロは大きすぎるけど」 そんなボーカル藤原のMCに、会場の男たちは「クワトロでも狭いわ! ゼップクラス