ーー新著『「科学的」は武器になる』は、ビジネス書というジャンルで、科学的な事柄についてもわかりやすく記されています。なぜ、このような形式となったのでしょうか? 実はね、僕はもともと、自分がどのようなキャリアを歩んできたのかを書いたところで、誰が読むんだと思っていたんですよ。 この本の企画は、僕の東大での最終講義からスタートしています。 あの日の最終講義は今でもYouTubeで見ていただくことができますが、小柴ホールという非常に大きなホールに、様々な方が集まりました。 半分は僕の専門分野である物理学の関係者。でも、残り半分はそうではない人々でした。 そこで、僕は65歳で定年するまで、自分はどんな研究をしてきたのか、その道のりはどのようなものであったか、そして震災後にどのような取り組みをしてきたのかをお話させていただきました。 僕は長年でジュネーブのCERN研究所を舞台に、世界を相手に研究者と