東日本大震災と東京電力福島第1原発事故から7年が経過したが、福島県の現状を巡る風評や偏見は根強く残っている。その大きな原因は放射線に関する知識の不足である。正確な情報を繰り返し丁寧に発信していくことが必要だ。 身近に接する福島県産食品への不安はなかなか消えない。
東京電力福島第一原発事故が起きた2011年3月以降、放射線等の計測と公表が徹底された。現在でも福島県内全域にいわゆるモニタリングポスト(リアルタイム線量測定システム)が設置され、県の公式ホームページでも空間線量値がリアルタイムで公表されている。県内で収穫されたコメは出荷前に全量全袋検査を受け、土壌の検査も継続されてきた。 線量の計測とともに、農地の除染も徹底され、コメの出荷前測定で基準値100Bq/kgを超えるものは2015年から0袋となり、その他の流通する農産物も基準値未満であることはもちろん、検出されるものすらほとんどないという状況が達成されている。 こうした除染や生産の現場ばかりではなく、福島県民一人ひとりが未曾有の震災と原発事故から立ち上がり、新しい日々を歩もうとしている。今回はそんな住民の一部の声を伝える。 突然投げつけられた言葉に、aquaさん(仮名・40代女性・福島県郡山市在
「原発全体のリスクは全て下がっているのにタンクのリスクだけが上がっている」「早く何とかしないと全体の作業に支障が出てくる」 7月15日のトリチウム処分政府小委員会による視察で、山本一良委員長(名古屋学芸大学副学長)が増え続けるタンクの現状に対し、懸念を示しました。 http://www.minpo.jp/pub/topics/jishin2011/2017/07/post_15253.html 東京電力は、福島第一原発から発生する汚染水を多核種除去設備(ALPS)で処理してセシウムなど62種類の放射性物質の除去を続けています。ただし、これは水素の同位体であるトリチウム(三重水素)だけは除去することができません。 そのため、現状はこのトリチウム以外を除去した処理水を福島第一原発周辺にタンクを次々と増設することで溜め続けており、その最終的な処分方法が早急に求められています。 最終的な処分と言っ
2017.04.27 Thu すべての子どもたちが福島に生まれたことを誇りに思えるように 南相馬・番場さち子さんに聞く / 服部美咲 福島の人びとを苦しめている、デマや偏見による理不尽な差別があります。「STOP!福島関連デマ・差別」がお届けするシリーズ「不条理の壁を越えて」では、そうした経験をひとつずつ丁寧に集めていきます。 番場さち子さんは、震災前から南相馬市原町区で学習塾を経営していた。原発事故発災後、当時の塾生が全員避難したこともあり、いったんは自身も県内の伊達市に避難したものの、4月に「番場先生に大学に入れてもらいたい」と帰ってきた1人の生徒を受け入れるために、南相馬に戻って塾を再開。 わずかながら避難しなかったり帰ってきたりした南相馬の子どもたちや母親、そして高齢者などの住民が共に学び憩う居場所をつくるために、高校時代の同級生と共に任意団体「ベテランママの会」を設立した。さまざ
東日本大震災と東京電力福島第1原発事故から6年を迎える。被災地の復興は多くの課題に直面しているのに加えて、避難者らに対するいじめや差別が相次いでいる。憂慮に堪えない。こうした問題の原因は放射線に関する根拠のない不安であり、正しい情報の発信と知識の普及が不可欠だ。行政はもとより、報道の責任も重大である。 原発事故で福島県から横浜市に自主避難した中学生がいじめを受けていたことが昨年11月に明らかになったのをきっかけに、同様のいじめが各地で次々に表面化した。しかし、これまでも福島県出身者が県外で「放射能がうつる」と言われるなどの例がたびたび報告されていた。今回の例は、原発事故以降続いてきた構造的な差別の一角とみるべきだろう。 福島県産の食品などの風評被害も後を絶たない。昨年、生活協同組合連合会「グリーンコープ連合」(本部・福岡市)は、お中元の「東日本大震災復興応援商品」として、福島を除く「東
東京電力福島第一原発事故後に福島県内から横浜市に避難した少年が転校先の小学校でいじめを受けていた問題を受け、福島県からの避難者や神奈川県の住民ら二十五人が意見交換する集会が二十二日、横浜市神奈川区のかながわ県民活動サポートセンターであった。参加者からは「いじめの背景には親の無理解がある」などの声が上がった。 東日本大震災の被災者を支援する団体でつくる「かながわ避難者生活支援ネットワーク」が主催。冒頭で、今回横浜市でいじめ被害に遭った少年の代理人の黒沢知弘弁護士が問題の経過を説明した。学校や行政の対応は不十分とする一方、問題が報道された後、弁護士事務所に「何かできることはないか」などと励ましの声が届くようになり、「少しずつ一般の人の理解が広まっていると感じた」と話した。 福島県浪江町から震災直後に鎌倉市内に避難した松尾弘美さん(72)は、同じ浪江町から関東に避難した若い母親数人から、子どもが
2016年11月22日東京新聞朝刊に【原発避難いじめ「氷山の一角」 大人の偏見、子に影響】という見出しで記事が掲載されました。なぜ、この記事に対して違和感を示すツイートが流れてくるのかまとめました。 違和感はこの記事自体に対してではなくこれまでの報道内容とこの記事のギャップに対するもののようです。
いじめの発覚を受け、松野文部科学大臣は、省の幹部を派遣して実態の把握と指導を行う方針を明らかにしたほか、全国の教育委員会に、こうしたいじめに迅速に対応するよう指示したが――。(画像は文部科学省HPより) 東京電力福島第一原発の事故で、福島県から横浜市に自主避難した家族の子どもが、小学生時代にいじめを受け、放置されていた。いじめが始まった時期と、それが多額の金銭をせびられる重大事態に至った時期。 この2つの時期に注目しながら、問題を考えてみたい。 メディアで垂れ流された差別発言 まず、いじめが始まった時期。 現在中学1年になるこの男子生徒は、2011年8月に転校したというから、9月の2学期から横浜市の小学校に登校するようになったのだろう。その直後から、名前に「菌」をつけて「◯◯菌」と呼ばれるなどのいじめが始まったという。 いじめる相手をバイ菌扱いするのは、子どものいじめの古典的手口だ。転校生
東京電力福島第一原発事故で福島県から自主避難した子どもが横浜市立小学校で数年間にわたり、いじめを受けていた問題が波紋を広げている。東京都内に自主避難する複数の母親が本紙の取材に応じ、子どもがいじめに遭った経験を打ち明けた。避難者団体にも同様な訴えがあり、親たちからは「横浜の問題は氷山の一角」との声も聞かれる。(中山高志) 二〇一四年夏ごろ、福島県いわき市から一家で自主避難した女性(46)は、当時小学生だった長男の胸元に、同級生に蹴られたという靴跡を見つけた。訳を聞くと長男は「『東京にただで住んでいるのか』って言われるのツラいよね」とつぶやいた。 住居は、原発事故の避難者を対象に、福島県が家賃を負担している「みなし仮設住宅」。放射能への不安から、仕事などこれまでの生活を断ち切り避難した一家にとって、無償の住宅は命綱に等しい。理不尽さを感じつつ、女性にできたのは、息子を抱き締めてやることだけだ
フリーアナウンサーの長谷川豊が、「自業自得の人工透析患者なんて、全員実費負担にさせよ!無理だと泣くならそのまま殺せ!」というブログ記事の問題で、10月3日、MCを務める『バラいろダンディ』(TOKYO MX)の番組冒頭で謝罪。さらに、昨日には同番組の降板が発表され、これによりテレビのレギュラー番組がすべてなくなった。 だが、同番組で行った謝罪内容は「患者の方々、その方々を支えてらっしゃるご家族のみなさま方、関係者の方々を深く傷つける表現をしてしまったことに関しては、全面的に私のミスです」というもので、“表現は良くなかったが、主張自体は間違っていない”と今も考えているらしい。 しかし、あらためて指摘しておくが、長谷川の主張はデタラメばかりだ。そもそも人工透析患者に限らず生活習慣病と総称される疾病は先天的要因と後天的要因のどちらか一方にのみ起因するわけではないし、経済状況や労働環境など社会的要
九州など14の生協で構成される「グリーンコープ連合」(福岡市博多区)がお中元カタログで実施している「東日本大震災復興応援」フェアが「東北5県で製造された」商品を扱っていることについて、ネット上などでは「福島差別では?」との疑問の声が上がっている。ハフポスト日本版の取材に対して、担当者は「わざとではない」と弁明している。 問題になっているカタログは、グリーンコープが6月に注文を受け付けるお中元向け通販カタログの「夏のおくりもの2016夏号」。表紙や特集ページで、復興応援と銘打ち、「東北5県で製造されている商品を応援を利用することで被災地の復興を応援しましょう」として青森、岩手、宮城、秋田、山形の商品を取り扱っている。一般的には東北地方と言えば東北6県を指す。しかし、東日本大震災と原発事故で甚大な被害を受けた福島県が不自然に除外されており、これに対して疑問の声が上がっていた。
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