鳩山由紀夫首相の資金管理団体の偽装献金事件で東京第4検察審査会は「首相の不起訴は妥当(不起訴相当)」と議決した。現行の政治資金規正法の枠組みではやむを得ない判断だろうが、残念である。一方で首相の上申書や検察の捜査に疑問を呈したことに注目したい。 審査会の議決書は、鳩山首相が母親からの莫大(ばくだい)な資金提供を知らなかったことに「素朴な国民感情として考えがたい」とした。これは国民の多くが持つ不信感である。議決結果を盾にした幕引きは許されない。 この事件では、東京地検特捜部の捜査で会計実務担当の勝場啓二被告ら元秘書2人が起訴されたものの、首相が虚偽記載に関与した事実は立証できず、嫌疑不十分で不起訴とされた。虚偽記載の原資や使途は解明されず、捜査結果に批判が強かった。結論は「捜査結果を覆す証拠がない」というものになったが、首相に対する直接の取り調べもなく、上申書提出で済ませたことを批判した。