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ブックマーク / www.aozora.gr.jp (19)

  • 夏目漱石 夢十夜

    こんな夢を見た。 腕組をして枕元に坐(すわ)っていると、仰向(あおむき)に寝た女が、静かな声でもう死にますと云う。女は長い髪を枕に敷いて、輪郭(りんかく)の柔(やわ)らかな瓜実(うりざね)顔(がお)をその中に横たえている。真白な頬の底に温かい血の色がほどよく差して、唇(くちびる)の色は無論赤い。とうてい死にそうには見えない。しかし女は静かな声で、もう死にますと判然(はっきり)云った。自分も確(たしか)にこれは死ぬなと思った。そこで、そうかね、もう死ぬのかね、と上から覗(のぞ)き込むようにして聞いて見た。死にますとも、と云いながら、女はぱっちりと眼を開(あ)けた。大きな潤(うるおい)のある眼で、長い睫(まつげ)に包まれた中は、ただ一面に真黒であった。その真黒な眸(ひとみ)の奥に、自分の姿が鮮(あざやか)に浮かんでいる。 自分は透(す)き徹(とお)るほど深く見えるこの黒眼の色沢(つや)を眺めて

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    crea555 2023/09/10
  • 作家別作品リスト:長谷川 伸

    公開中の作品 一刀土俵入 二幕五場 (新字新仮名、作品ID:56081) 討たせてやらぬ敵討 (新字新仮名、作品ID:55793) カン (新字新仮名、作品ID:56601) 奇術考案業 (新字新仮名、作品ID:55835) 沓掛時次郎 三幕十場 (新字新仮名、作品ID:56083) 中山七里 二幕五場 (新字新仮名、作品ID:56085) 母 (新字新仮名、作品ID:56602) 瞼の母 (新字新仮名、作品ID:56089) 身の上や (新字新仮名、作品ID:55836) 幽霊を見る人を見る (新字新仮名、作品ID:55837) 作業中の作品 →作業中 作家別作品一覧:長谷川 伸 荒木又右衛門 (新字新仮名、作品ID:56138) 刺青奇偶 (新字新仮名、作品ID:56941) 勘太郎月の唄 二幕四場 (新字新仮名、作品ID:56082) 相馬大作と津軽頼母 (新字新仮名、作品ID:5

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    crea555 2021/08/14
  • 二笑亭綺譚 (式場 隆三郎)

    には、以下の諸篇がおさめられています。(青空文庫) 「01 二笑亭綺譚」(新字新仮名) 式場隆三郎 「02 跋」(新字新仮名) 柳宗悦 「03 二笑亭の建築」(新字新仮名) 谷口吉郎 「04 あとがき」(新字新仮名) 式場隆三郎 「05 二笑亭主人異聞」(新字新仮名) 式場隆成 「06 二笑亭再建せり」(新字新仮名) 藤森照信 「07 小説 毛の生えた星」(新字新仮名) 赤瀬川原平 「08 (付)海外旅行記」(新字新仮名) 渡辺金蔵 なお、「01 二笑亭綺譚」には底どおり「01 二笑亭綺譚」「02 祓」「04 あとがき」を納めています。 ※公開に至っていない場合は、リンクが機能しません。

    二笑亭綺譚 (式場 隆三郎)
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    crea555 2021/07/20
  • 二都物語 (ディケンズ チャールズ)

    イギリス、ポーツマス郊外に生まれる。身体が弱かったため、外で遊ぶよりは芸術を好む子どもだった。明るい父親であったがお金にはだらしなく、そのため子どもの頃から様々な苦労をすることになるが、その中でもこつこつと読書を重ねた。こういった豊富な知識と経験から数々の秀逸な作品を著し、イギリスの国民的作家となる。代表的作品では特に、人間の良心のすばらしさを描いた「クリスマス・キャロル」「二都物語」の二作品が日でも人気が高く、他に「オリヴァ・トゥイスト」「ディヴィット・コパフィールド」「大いなる遺産」「エドウィン・ドルードの謎」など。(大久保ゆう) 「チャールズ・ディケンズ」

    二都物語 (ディケンズ チャールズ)
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    crea555 2021/02/13
  • 中島敦 文字禍

    文字の霊(れい)などというものが、一体、あるものか、どうか。 アッシリヤ人は無数の精霊を知っている。夜、闇(やみ)の中を跳梁(ちょうりょう)するリル、その雌(めす)のリリツ、疫病(えきびょう)をふり撒(ま)くナムタル、死者の霊エティンム、誘拐者(ゆうかいしゃ)ラバス等(など)、数知れぬ悪霊(あくりょう)共がアッシリヤの空に充(み)ち満ちている。しかし、文字の精霊については、まだ誰(だれ)も聞いたことがない。 その頃(ころ)――というのは、アシュル・バニ・アパル大王の治世第二十年目の頃だが――ニネヴェの宮廷(きゅうてい)に妙(みょう)な噂(うわさ)があった。毎夜、図書館の闇の中で、ひそひそと怪(あや)しい話し声がするという。王兄シャマシュ・シュム・ウキンの謀叛(むほん)がバビロンの落城でようやく鎮(しず)まったばかりのこととて、何かまた、不逞(ふてい)の徒の陰謀(いんぼう)ではないかと探って

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    crea555 2020/12/04
  • ハンス・クリスチアン・アンデルセン Hans Christian Andersen 森鴎外訳 即興詩人 IMPROVISATOREN

    是れ予が壯時の筆に成れる IMPROVISATOREN(イムプロヰザトオレン) の譯なり。國語と漢文とを調和し、雅言と俚辭とを融合せむと欲せし、放膽にして無謀なる嘗試は、今新に其得失を論ずることを須(もち)ゐざるべし。初めこれを縮刷に付するに臨み、予は大いに字句を削正せむことを期せしに、會(たま/\)歐洲大戰の起るありて、我國も亦其旋渦中に投ずるに至りぬ。羽檄旁午(うげきばうご)の間、予は僅に假刷紙を一閲することを得しのみ。 大正三年八月三十一日觀潮樓に於いて わが最初の境界 羅馬(ロオマ)に往きしことある人はピアツツア、バルベリイニを知りたるべし。こは貝殼持てるトリイトンの神の像に造り做(な)したる、美しき噴井(ふんせい)ある、大なる廣こうぢの名なり。貝殼よりは水湧き出でゝその高さ數尺に及べり。羅馬に往きしことなき人もかの廣こうぢのさまをば銅板畫にて見つることあらむ。かゝる畫にはヰア、

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    crea555 2020/06/02
    “其辭にいはく。朱(あけ)の唇に觸れよ、誰か汝の明日(あす)猶在るを知らん。戀せよ、汝の心の猶少(わか)く、汝の血の猶熱き間に。”いのち短し 恋せよ乙女 あかき唇 褪(あ)せぬ間に
  • 青空文庫: 作家別作品リスト:アンデルセン ハンス・クリスチャン

    デンマークの国民的文学者。オーデンセの貧しい直し屋に生まれ、幼少の頃から父にアラビアンナイトなどの物語を読み聞かされ育った。その父が早くに亡くなったため学校を中退せざるをえず、俳優を志してコペンハーゲンへ行くものの、途中で挫折する。苦しい生活の後、政治家コリンの援助もあり大学を卒業する。国外を遊学し、その際のイタリアでの印象と体験より「即興詩人」を著す。1835年「童話集(お話と物語)」を発表し、以後死ぬまでの四十年で一五〇余編の童話を書いた。グリムと童話文学の始祖として並び称されるが、グリムと違い、創作童話の多さが特徴的である。他の代表作 「絵のない絵」「わが生涯の物語」(大久保ゆう) 「ハンス・クリスチャン・アンデルセン」 公開中の作品 赤いくつ (新字新仮名、作品ID:42378)     →楠山 正雄(翻訳者) アヒルの庭で (新字新仮名、作品ID:60069)     →矢崎

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    crea555 2020/01/24
  • 新美南吉 手袋を買いに

    寒い冬が北方から、狐(きつね)の親子の棲(す)んでいる森へもやって来ました。 或朝(あるあさ)洞穴(ほらあな)から子供の狐が出ようとしましたが、 「あっ」と叫んで眼(め)を抑(おさ)えながら母さん狐のところへころげて来ました。 「母ちゃん、眼に何か刺さった、ぬいて頂戴(ちょうだい)早く早く」と言いました。 母さん狐がびっくりして、あわてふためきながら、眼を抑えている子供の手を恐る恐るとりのけて見ましたが、何も刺さってはいませんでした。母さん狐は洞穴の入口から外へ出て始めてわけが解(わか)りました。昨夜のうちに、真白な雪がどっさり降ったのです。その雪の上からお陽(ひ)さまがキラキラと照(てら)していたので、雪は眩(まぶ)しいほど反射していたのです。雪を知らなかった子供の狐は、あまり強い反射をうけたので、眼に何か刺さったと思ったのでした。 子供の狐は遊びに行きました。真綿(まわた)のように柔(

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    crea555 2019/11/03
  • 宮沢賢治 よだかの星

    よだかは、実にみにくい鳥です。 顔は、ところどころ、味噌(みそ)をつけたようにまだらで、くちばしは、ひらたくて、耳までさけています。 足は、まるでよぼよぼで、一間(いっけん)とも歩けません。 ほかの鳥は、もう、よだかの顔を見ただけでも、いやになってしまうという工合(ぐあい)でした。 たとえば、ひばりも、あまり美しい鳥ではありませんが、よだかよりは、ずっと上だと思っていましたので、夕方など、よだかにあうと、さもさもいやそうに、しんねりと目をつぶりながら、首をそっ方(ぽ)へ向けるのでした。もっとちいさなおしゃべりの鳥などは、いつでもよだかのまっこうから悪口をしました。 「ヘン。又(また)出て来たね。まあ、あのざまをごらん。ほんとうに、鳥の仲間のつらよごしだよ。」 「ね、まあ、あのくちのおおきいことさ。きっと、かえるの親類か何かなんだよ。」 こんな調子です。おお、よだかでないただのたかならば、こ

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    crea555 2019/02/11
  • 駈込み訴え (太宰 治)

    津軽の大地主の六男として生まれる。共産主義運動から脱落して遺書のつもりで書いた第一創作集のタイトルは「晩年」(昭和11年)という。この時太宰は27歳だった。その後太平洋戦争に向う時期から戦争末期までの困難な間も、妥協を許さない創作活動を続けた数少ない作家の一人である。戦後「斜陽」(昭和22年)は大きな反響を呼び、若い読者をひきつけた。 「太宰治」

    駈込み訴え (太宰 治)
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    crea555 2018/03/27
  • 作家別作品リスト:片岡 義男

    1939年、東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年、「白い波の荒野へ」で作家デビュー。75年、「スローなブギにしてくれ」で野生時代新人賞を受賞。以降、小説、評論、エッセイ、翻訳などの作家活動のほかに写真家としても活躍。 「片岡義男」 公開中の作品 エルヴィスから始まった (新字新仮名、作品ID:56823) 彼のオートバイ、彼女の島 (新字新仮名、作品ID:56911) 時差のないふたつの島 (新字新仮名、作品ID:52175) 七月の水玉 (新字新仮名、作品ID:54825) 少女時代 (新字新仮名、作品ID:55718) 東京青年 (新字新仮名、作品ID:56822) 夏と少年の短篇 (新字新仮名、作品ID:56182) 波乗りの島 (新字新仮名、作品ID:52459) 頬よせてホノルル (新字新仮名、作品ID:51737) 道順は彼女に訊く (新字新仮名、作品

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    crea555 2018/02/25
  • 宮沢賢治 春と修羅 第二集

    序 この一巻は わたくしが岩手県花巻の 農学校につとめて居りました四年のうちの 終りの二年の手記から集めたものでございます この四ヶ年はわたくしにとって じつに愉快な明るいものでありました 先輩たち無意識なサラリーマンスユニオンが 近代文明の勃興以来 或いは多少ペテンもあったではありませうが とにかく巨きな効果を示し 絶えざる努力と結束で 獲得しましたその結果 わたくしは毎日わづか二時間乃至四時間のあかるい授業と 二時間ぐらゐの軽い実習をもって わたくしにとっては相当の量の俸給を保証されて居りまして 近距離の汽車にも自由に乗れ ゴムや荒い縞のシャツなども可成に自由に撰択し すきな子供らにはごちそうもやれる さういふ安固な待遇を得て居りました しかしながらそのうちに わたくしはだんだんそれになれて みんながもってゐる着物の枚数や 毎とれる蛋白質の量などを多少夥剰に計算したかの嫌ひがありま

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    crea555 2016/08/13
  • 平田晋策 昭和遊撃隊

    諸君、僕はわが海軍の軍機を洩(もら)すようで非常に心苦しいのだが、諸君にだけある重大な秘密をお告げしたい。 それは今、建造中の巡洋艦『最上(もがみ)』『三隈(みくま)』『吉野(よしの)』『千種(ちくさ)』の四隻に関する秘密だ。 この四隻は同じ型の姉妹艦で、海軍省の発表によると、噸数(トンすう)は八千五百噸、武装は十五糎(サンチ)砲十五門、十二糎高角砲四門で、速力は三十三ノットだ。 この数字を見ただけでも、『最上』級が立派な世界一流の軽巡洋艦であることがわかる。現に米国海軍あたりではわが艦政部が非公式に発表した『最上』の設計図を見て、舌をまいて驚いているのだ。 設計者は世界造船学界の権威、海軍技術研究所の第一部長、武田敏夫(たけだとしお)博士である。 武田博士は工学博士でしかも造船大佐だ。 英国ケンブリッジ大学のパークス博士は、 「今、世界の十大学者の中(うち)、三人までは日人である。一

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    crea555 2015/05/24
  • 太宰治 駈込み訴え

    申し上げます。申し上げます。旦那さま。あの人は、酷(ひど)い。酷い。はい。厭(いや)な奴です。悪い人です。ああ。我慢ならない。生かして置けねえ。 はい、はい。落ちついて申し上げます。あの人を、生かして置いてはなりません。世の中の仇(かたき)です。はい、何もかも、すっかり、全部、申し上げます。私は、あの人の居所(いどころ)を知っています。すぐに御案内申します。ずたずたに切りさいなんで、殺して下さい。あの人は、私の師です。主です。けれども私と同じ年です。三十四であります。私は、あの人よりたった二月(ふたつき)おそく生れただけなのです。たいした違いが無い筈だ。人と人との間に、そんなにひどい差別は無い筈だ。それなのに私はきょう迄(まで)あの人に、どれほど意地悪くこき使われて来たことか。どんなに嘲弄(ちょうろう)されて来たことか。ああ、もう、いやだ。堪えられるところ迄は、堪えて来たのだ。怒る時に怒ら

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    crea555 2015/03/31
    ヤンデレと記号化してしまうこともできるかもしれないけれど、この愛憎は素晴らしく醜く、そしてあの方の美しさの対極にある。
  • 中島敦 名人伝

    趙(ちょう)の邯鄲(かんたん)の都に住む紀昌(きしょう)という男が、天下第一の弓の名人になろうと志を立てた。己(おのれ)の師と頼(たの)むべき人物を物色するに、当今弓矢をとっては、名手・飛衛(ひえい)に及(およ)ぶ者があろうとは思われぬ。百歩を隔(へだ)てて柳葉(りゅうよう)を射るに百発百中するという達人だそうである。紀昌は遥々(はるばる)飛衛をたずねてその門に入った。 飛衛は新入の門人に、まず瞬(またた)きせざることを学べと命じた。紀昌は家に帰り、の機織台(はたおりだい)の下に潜(もぐ)り込(こ)んで、そこに仰向(あおむ)けにひっくり返った。眼(め)とすれすれに機躡(まねき)が忙しく上下往来するのをじっと瞬かずに見詰(みつ)めていようという工夫(くふう)である。理由を知らないは大いに驚(おどろ)いた。第一、妙(みょう)な姿勢を妙な角度から良人(おっと)に覗(のぞ)かれては困るという。

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    crea555 2015/01/06
  • 峠三吉 原爆詩集

    [#ページの左右中央] ――一九四五年八月六日、広島に、九日、長崎に投下された原子爆弾によって命を奪われた人、また現在にいたるまで死の恐怖と苦痛にさいなまれつつある人、そして生きている限り憂悶と悲しみを消すよしもない人、さらに全世界の原子爆弾を憎悪する人々に捧ぐ。 [#改丁]

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    crea555 2014/06/28
    “ちちをかえせ ははをかえせ としよりをかえせ こどもをかえせ わたしをかえせ わたしにつながる にんげんをかえせ にんげんの にんげんのよのあるかぎり くずれぬへいわを へいわをかえせ”
  • 神州纐纈城 (国枝 史郎)

    小説家。長野県茅野市生まれ。早大英文科中退。在学中自費出版した戯曲集「レモンの花の咲く丘へ」を契機に、劇作活動から朝日新聞記者を経て松竹座の座付作者となる。しかし、バセドー氏病に罹患し活動なかばで帰郷。各地を転居しながらの療養生活中、「講談雑誌」(博文館)に寄稿した連載時代小説「蔦葛木曽棧」(つたかずらきそのかけはし)(大正11年)執筆を機に小説へ転じる。複数の筆名を用い探偵小説なども手がける一方、奔放な空想力で描かれる時代小説は現代にいたる伝奇小説のさきがけとなる。とくに代表作と言われる「神州纐纈城」(しんしゅうこうけつじょう)(大正14年)は、陰惨怪奇、神秘的色彩の濃いその特異な作品世界が高く評価され、三島由紀夫からも「文藻のゆたかさと、部分的ながら幻想美の高さと、その文章のみごとさと、今読んでも少しも古くならぬ現代性とにおどろいた。(中略)その気稟の高さは比較を絶している」と絶賛され

    神州纐纈城 (国枝 史郎)
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    crea555 2013/07/04
  • 宮澤賢治 〔雨ニモマケズ〕

    雨ニモマケズ 風ニモマケズ 雪ニモ夏ノ暑サニモマケヌ 丈夫ナカラダヲモチ 慾ハナク 決シテ瞋ラズ イツモシヅカニワラッテヰル 一日ニ玄米四合ト 味噌ト少シノ野菜ヲタベ アラユルコトヲ ジブンヲカンジョウニ入レズニ ヨクミキキシワカリ ソシテワスレズ 野原ノ松ノ林ノノ 小サナ萓ブキノ小屋ニヰテ 東ニ病気ノコドモアレバ 行ッテ看病シテヤリ 西ニツカレタ母アレバ 行ッテソノ稲ノ朿ヲ[#「朿ヲ」はママ]負ヒ 南ニ死ニサウナ人アレバ 行ッテコハガラナクテモイヽトイヒ 北ニケンクヮヤソショウガアレバ ツマラナイカラヤメロトイヒ ヒドリノトキハナミダヲナガシ サムサノナツハオロオロアルキ ミンナニデクノボートヨバレ ホメラレモセズ クニモサレズ サウイフモノニ ワタシハナリタイ 南無無辺行菩薩 南無上行菩薩 南無多宝如来 南無妙法蓮華経 南無釈迦牟尼仏 南無浄行菩薩 南無安立行菩薩 底:「【新】校

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    crea555 2012/03/22
  • 海野十三 十八時の音楽浴

    1 太陽の下では、地球が黄昏れていた。 その黄昏れゆく地帯の直下にある彼の国では、ちょうど十八時のタイム・シグナルがおごそかに百万人の住民の心臓をゆすぶりはじめた。 「ほう、十八時だ」 「十八時の音楽浴だ」 「さあ誰も皆、遅れないように早く座席についた!」 アリシア区では博士コハクと男学員ペンとそして女学員バラの三人がいるきりだった。タイム・シグナルを耳にするより早く、三人は扉を開いて青い廊下にとびだした。 その青廊下には銀色に光る太い金属パイプを螺旋形に曲げて作ってある座席が遠くまで並んでいた。 三人は自分たちの名前が書かれてある座席の上に、それぞれ、ピョンピョンと飛びのった。それをきっかけのように、天井に三つの黄色い円窓があいて、その中から黄色い風のシャワーが三人の頭上に落ちてきた。すがすがしい風のシャワーだった。 三人は黙々として、音楽浴のはじまるのを待った。 博士コハクは中年の男性

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    crea555 2012/01/01
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