イギリス在住のブレイディみかこさんが『婦人公論』で連載している好評エッセイ「転がる珠玉のように」。今回は「日本の介護スゴイ」。母親の介護のため帰省した際に目の当たりにした日本の介護業界のスゴさ。何よりびっくりしたのは訪問入浴サービスで――。(絵=平松麻) 日本の介護業界はマジでスゴかった 正月早々、妹からメールで送られてきた写真を見て、なんとも言えない気分になっている。それはホスピスの母親の病室の入口にあったという、質素ながらも美しいお正月飾りの写真だった。いつ何があってもおかしくないと言われている患者のために、正月にふさわしい色彩の花を小瓶に活け、ウサギの置き物を配置して新年の飾りを施す。この気配りにはじわっとくるものがある。 じわっとくる理由は、その飾りの大きさや雰囲気のちょうどよさというか、押しつけがましくないやさしさのせいだ。この過不足のない思いやりは、プロフェッショナルであると言