今年の夏の英国といえば、映画『バービー』と『オッペンハイマー』だった。2本の映画が驚異的なヒットを飛ばしていたのだ。前者はピンクだらけの人形をモチーフにした映画、後者は原爆開発の中心人物の伝記映画ということで、これほどかけ離れた題材もないだろうというのに、なぜか2本のハシゴ鑑賞をするのが流行し、わたしの息子なども友人たちとそれをしてきた一人だ。 2本は映画界の救世主になる勢いなのだそうで、「バーベンハイマー現象」という(日本では特に物議をかもした)ムーブメントを生み出した。二つの映画の画像を組み合わせたミームがソーシャルメディアにあふれたのである。画像の色彩や俳優たちの表情など、これほど落差の激しい組み合わせもないが、それだけに面白がってミームを作る人たちが後を絶たなかった。わたしなんかは、やはり古い人間であるから、この2本を一緒に鑑賞しようという気にはならなかった。が、若者の間では、イチ