山の楽しみ方が多様化する中で、山の中でもさまざまなトラブルが生じている。人どうしのトラブルの最終的な判断は法律に則って行われるが、みなさんは登山でどれぐらい法律を意識しているだろうか? 溝手康史弁護士は、昨今の登山界で起きている法的トラブルについて、さまざまな角度から論じている。 法治国家である我が国の場合、ふだんの生活で起きるさまざまな対立・トラブルは、基本的には法律に則って解決される。人々は法律に基づいて行動していて、誰か・何かを傷つけた・つけられた、といった場合、当事者間だけで解決できなければ、法律に則って解決の糸口を探していくことになる。それは登山中に起きたことでも同じだ。 しかし、登山中に考えられるトラブルに対して、どれだけの人が法律を意識しているだろうか? 落石で誰かを怪我させてしまった場合の責任、立ち入り禁止を知らずに入山していた場合の対処などを、どれだけの登山者が理解してい