政府はTPP法案の今国会での成立を断念することを決めた。その背景には熊本地震の影響があるものの、野党側の攻撃にたじろぐ場面があったためだ。 ひとつ重要なポイントといえるのが、4月19日の衆院TPP特別委員会で政府がTPPに関する2013年の国会決議違反を公式に認めたことだ。 民進党の玉木雄一郎議員が「国会決議で守るとした“重要5項目”に該当する594のタリフライン(物品を貿易する時に分類した時、関税をかけることができる品目単位)のうち、関税削減も撤廃もしない“無傷”のものはいくつか」と質問したのに対し、森山裕農水大臣が「ない」と答えたのだ。 政府はこれまで「聖域死守」の成果を強調してきた。たとえば昨年10月20日の会見で森山大臣は、「TPP交渉の結果、農林水産品の総タリフライン数2328のうち443ラインについて関税撤廃の例外を獲得することができた。これは全体の19%を占めている」と述べ、