この1年、自分のいるクリニックでは発達障害の診断や現在抱えている不適応や気分障害・不眠など精神科的症状に悩む人の受診が増えた。国際的な診断ツールである、ADOS-2(本人対象)やADI-R(養育者対象)を用いての出来るだけ客観的な自閉症鑑別の手段を使っていること、そういったツールを使えて発達障害に元々詳しい心理士がいること、地理的に理科系の大学が近辺に複数あることといった条件は重なっている。ただ、実際に数、特に現在の状況に不適合な発達障害者が増えて顕在化しているのだとも思う。 疾患や障害と捉えるのが正しいのか? 以前も書いた(⇛ASDは治療するものなのか)ように、ASDにしてもADHDにしても、必ずしも「疾患」や「障害」と考える必要はない。それぞれの性質を持ちつつも、能力が環境にマッチして発揮できており、周囲から認められている人に敢えて医学的診断は必要ないだろう。「ちょっと変わり者だけどデ
このブログでも取り上げたことのある自閉症とオキシトシンに関する話題ですが、ここのところ重要な論文が相次いで発表されていますので、今回はその内容をご紹介したいと思います。 まず、つい最近になって発表された二つの論文をご紹介します。一つは、オーストラリアから、一つは日本からのもので、結論はオーストラリアからのものが効果なし、日本からのものは一定の効果あり、と一見正反対になっています。この二つの論文は、対象とした年齢が異なっているほかオキシトシンの投与量や民族による遺伝子型の違いなども考慮しなければならないため、完全に並列に論じることはできないのですが、研究方法に共通する点が多く、また、表面的な結論こそ正反対に見えますがデータ上は共通する点も多いため、あえて比較してみることにしました。原著は次のリンクを参照してください。 Guastella et al. “The effects of a co
自閉症スペクトラム障害注1)は、表情や声色を活用して相手の気持ちを汲み取ることが難しいといった対人コミュニケーションの障害を主な症状とし、一般人口の100人に1人以上で認められる代表的な発達障害です。この障害の原因は完全には解明されておらず、その治療法も確立されていません。結果として、知能の高い方でもこの障害のために社会生活に困難をきたしている現状にあります。 東京大学 大学院医学系研究科 精神医学分野 准教授 山末 英典は、同研究科 統合生理学分野 特任助教(当時) 渡部 喬光らと共同で、ホルモンの1種であるオキシトシン注2)をスプレーによって鼻から吸入することで、自閉症スペクトラム障害において元来低下していた内側前頭前野注3)と呼ばれる脳の部位の活動が活性化され、それと共に対人コミュニケーションの障害が改善されることを世界で初めて示しました。 今後はこの研究成果をもとに、オキシトシンの
―血液中の代謝産物の網羅的な解析によって同定― 自閉症スペクトラム障害は、表情や声色を活用して相手の気持ちを汲み取ることが難しいといった対人コミュニケーションの障害を主な症状とし、一般人口の100人に1人以上で認められる代表的な発達障害ですが、この障害の診断や重症度を客観的に評価する方法は乏しいのが現状です。 東京大学大学院医学系研究科精神医学分野 准教授 山末英典、同研究科 こころの発達医学分野 助教 桑原斉、同研究科 精神医学分野 教授 笠井清登らは、客観的な評価方法を開発するため、網羅的に血液中の代謝産物を調べるメタボローム解析を行いました。その結果、自閉症スペクトラム障害を持つ群ではアルギニンなど4つの代謝産物の血液中濃度が、健常対照群に比べて偏りがあることがわかりました。この結果は、別の自閉症スペクトラム障害群と健常対照群においても確認されました。また、この4つの代謝産物の血液中
【行方史郎=ワシントン、土肥修一】日本でも広く使われている米精神医学会の診断の手引(DSM)が5月に改訂され、発達障害の一種「アスペルガー症候群(AS)」の分類が消える見通しだ。「適切な支援が受けられなくなる人が出る」などの不安が米国で出ており、日本の臨床現場への影響も出そうだ。 ASは、言語発達の遅れや知的障害はないが、対人関係を築くのが苦手なのが特徴で、「アスペルガー障害」とも呼ばれる。「軽い自閉症」と見なされることもあり、19年ぶりに改訂されるDSM第5版では、重い自閉症からASまでを連続的に捉える「自閉症スペクトラム(連続体)障害」に一本化される。 診断に使う項目も改訂版では、「社会コミュニケーションの障害」「限定した興味や反復行動」に絞る。改訂に関わったグループは「第4版の基準は医師によって診断名が違ってくる」などとし、「より正確な診断が可能になる」としている。 だが、米エ
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