「12・5メートルにするって、いつ、どう決まったんだ」「そんなもの本当に意味あんのか」。 陸前高田市の防潮堤づくりに関する行政や議会とのやりとりのなか、市民はしばしばいらだちを滲ませた。 4階建てビルに相当するコンクリートの壁が、海沿いに延々と続く…。想像するのも難しい非日常的光景であると同時に、それだけの高さ・規模と聞いて、まず住民が思い浮かべたのは、釜石市の全長2キロにわたる防波堤ではなかったろうか。 「世界最深」のギネス記録を誇り、30年の歳月をかけて2009年に完成したこの“海の砦(とりで)”は、東日本大震災の大津波で崩壊。総工費1200億円が一瞬で水泡に帰した。 津波を6分間遅らせる効果があったとも分析されているから、全く無意味だったとはいえない。だが。 「人の造るものには限界がある」-。それがこの津波を経験した人に等しく宿る思いだろう。 こうしたなか、「森で防潮堤を