6月28日、総務省、文部科学省、経済産業省による「デジタル・ネットワーク社会における出版物の利活用の推進に関する懇談会」(以下、三省デジ懇)が、いくつかの論点や課題を指摘した報告書を公表した(注1)。 筆者は、「技術に関するワーキングチーム」の構成員として報告書案の作成に参加した。そこで三省デジ懇の役割や、今後の課題について整理してみることにしよう。 もともと、三省デジ懇の設立背景には、巨大IT企業により電子書籍市場の流通寡占が進むことへの懸念があった。米国では、アマゾン、アップル、グーグルなどが、電子書籍端末の投入や販売サイトの開業を相次いで手がけている。世界市場で鍛え上げたサービスとシステムを持って日本に上陸してくれば、日本語電子書籍の流通プラットフォームが米国企業主導となることは明らかである。 そこで、日本独自の電子書籍流通モデルの構築と既存の出版産業の共存方法を検討しようとい