山形県鶴岡市の「アローズ山形庄内中央店」は、クルマの販売や整備を手がける普通の自動車販売店だ。 店が街にできたのは2010年のこと。鶴岡市は、日本百名山で知られる月山を東に、庄内砂丘と日本海を西に望む全国有数の穀倉地帯に位置しており、市の面積は東北地方で最も広い。雪も多いこの街では、自動車は文字通り生活に欠かせないものだ。それだけ自動車が重要なこの場所で、地元の人の生活を支えてきた。 しかし、店内に一歩足を踏み入れるとクルマを売っている気配はどこにも感じられない。 入口にはアパレル品やインテリアの輸入雑貨が並び、奥にはラジコンのサーキットが広がる。最も目を引くのはガンダムのプラモデル、いわゆる“ガンプラ”だ。販売だけではなく、塗装された完成品もズラリと棚に並ぶ。これは一体、どういうことなのだろうか――。 ◆ 店内のメインは「ほぼガンプラ」きっかけは… 「多いときには80箱ぐらい在庫を並べて