東日本大震災で大きな被害を受けた福島、宮城、岩手の3県で、5月の清酒の出荷量が前年より2~6割も増加した。全国で「震災復興支援イベント」が盛んに開催され、3県の清酒に人気が集まったことが理由とみられる。3県の酒造組合は「清酒離れが加速しているなか、異例の出来事」と驚く。一方で今後は、東京電力福島第1原発事故で、米などに放射性物質の影響が懸念され「今秋から造る清酒を買ってもらえるのか」と心配する声も上がっている。【高島博之】 震災では、福島で3軒、宮城で8軒、岩手で3軒の蔵元が全壊。福島ではさらに、原発20キロ圏内の1軒が避難指示で操業できなくなった。流通経路の寸断もあり、日本酒造組合中央会によると、3月の出荷量は前年同月比で福島78%▽宮城55.1%▽岩手61.3%に落ち込んだ。 ところが、4月に入ると、被災地の商品を積極的に販売する復興支援イベントが商業施設や飲食店で開催されるようになっ