家庭における親の権威を低下させた要因の一つは、家電品の高度化ではないか。 ひと昔前なら、故障したら分解して「これがこうだから、こうすればいいはず」と家庭で修理できた面がある。しかし今の電脳化された家電品では、多くの機能がブラックボックス化され、太刀打ちできない。修理に出しても、新品を買うのと変わらない見積もりに驚くことも。 なので家電に限らず、シャープペンシルから軽飛行機まで50種を徹底的に分解し、その部品を現代美術のように整然と並べた写真を収めたこの本も、機械の魅力たっぷりのアナログ品と基盤だけが並ぶデジタル品に分かれるんだろうな、と踏んでいた。 実際、例えば、機能が少し重なる機械式タイプライターとパソコンでは、前者には複雑なメカが力を伝えあうような魅力があるのに対し、後者は四角い板のようなものが淡々と続いてゆく。 一方で、分解されたデジタル一眼レフカメラの美しさに驚く。レンズ周辺の部品