――2016年公開の前作「この世界の片隅に」の上映が今も続いています。 こんなにうれしいことはない。すずさんという人物が見て、感じたことの「片隅」だけを描いている。その片隅の中にどれだけ密度の高いものが描けるかが大事で、「音」もとても大事な要素になる。映画館の環境で奏でられる音がすずさんが感じる世界の一部と思うと、映画館で見てもらうのがベストだと思う。 この映画でできることは ――戦争や原爆に関心がなかった人たちも取り込みました。 教科書に書いてあることや、歴史の大きなことではない部分をたくさん描こうと思った。教科書には毎日何を食べていたとか、どうやって料理していたとか、書いてないと思う。それを描くことで、その時の一角、世界の片隅が本当にあったことのように感じて頂けると思う。 ひょっとしたらこの映画でできることは「あの時代は本当にあったことなんだな」と感じてもらうことだけかもしれない。すず