(さらしな・いさお)。古生物学者。武蔵野美術大教授。東京大学大学院非常勤講師。1961年、東京都生まれ。東京大学教養学部基礎科学科卒業。民間企業を経て大学に戻り、東京大学大学院理学系研究科修了。博士(理学)。専門は分子古生物学。『化石の分子生物学』(講談社現代新書)で、第29回講談社科学出版賞を受賞。著書に『宇宙からいかにヒトは生まれたか』『進化論はいかに進化したか』(ともに新潮選書)、『爆発的進化論』(新潮新書)、『絶滅の人類史』(NHK出版新書)、『若い読者に贈る美しい生物学講義』(ダイヤモンド社)、共訳書に『進化の教科書・第1~3巻』(講談社ブルーバックス)などがある。 若い読者に贈る美しい生物学講義 生物とは何か、生物のシンギュラリティ、動く植物、大きな欠点のある人類の歩き方、遺伝のしくみ、がんは進化する、一気飲みしてはいけない、花粉症はなぜ起きる、iPS細胞とは何か・・・。分子古
小林製薬の紅麹サプリメント事件。原因が本当に紅麹なのかがわからない中で、マスコミ報道が過熱、紅麹という言葉だけが広まり、まったく関係のない麹味噌などの不買まで起きてしまった。 実際の犯人が判明するにはまだ時間はかかりそうだが、これを機会に、発酵=健康という単純な風潮も見直されると良いかと思う。「発酵生活」と呼び合い、非常にラフに自宅で発酵食品を作るし人が増えているからだ。自宅で作る発酵食品は、今まで大事故が起きていないのが不思議なくらい、管理が雑だ。 紅麹に罪はない 小林製薬の紅麹サプリメントが腎臓病を悪化させたという話が、なかなか収束しない。紅麹自体に問題はなく、小林製薬社製の紅麹原料を入手している企業173社に対して、厚生労働省が聞き取り調査を行い、過去に健康被害が起きた例は皆無であることが判明した。 紅麹は昔から味噌や醤油、酒などに広く使われてきた。健康被害があるのであれば、とっくに
梅野健 情報学研究科教授、水野彰 同研究員、高明慧 同専門業務職員(研究当時)らの研究グループは、大地震発生直前に観察される電磁気学的異常を地殻破壊時の粘土質内の水が超臨界状態であることにより説明する物理メカニズムを発見しました。今まで、2011年東北沖地震、2016年熊本地震などの大地震発生直前に震源付近の電離層上空に異常が観測されたことが報告されていましたが、なぜ大地震発生直前の電離層に異常が生じるかを明確に説明する物理モデルの報告はなく、幾つかの仮説が提唱されているのみでした。 本研究グループは、プレート境界面には、すべりやすいスメクタイトなどの粘土質が存在し、その粘土質の中にある水が地震発生前の高温高圧下で超臨界状態となり、電気的な性質が通常の水と異なり絶縁性となり、電気的特性が急に変化することで電磁気学的異常が生成することを初めて提案し、電離層への影響を大気の静電容量によりモデル
昨年から量子コンピュータ業界は大きな転換期に入りました。これまで人類には難しすぎるという量子コンピュータはみんなで四苦八苦しながら開発をしてきたと思います。具体的な沿革としては、 1、2012年に簡易型量子コンピュータみたいな量子アニーリングマシンが出る。 2、量子アニーリングマシンは2016年をピークに2018年ごろに廃れる。(デスクトップパソコンと大差ないことがわかる) 3...
このコーナーでは、2014年から先端テクノロジーの研究を論文単位で記事にしているWebメディア「Seamless」(シームレス)を主宰する山下裕毅氏が執筆。通常は新規性の高い科学論文を解説しているが、ここでは番外編として“ちょっと昔”に発表された個性的な科学論文を取り上げる。 X: @shiropen2 人は日常的に歩行という動作を行っているが、その速度は単なる身体能力の指標ではないことが、この研究で明らかになった。研究チームは、ニュージーランドで1972~1973年に生まれた1037人(45歳時点で生存していたのは997人、そのうち904人の歩行速度を測定)を対象に、45歳時点での歩行速度とさまざまな健康指標との関連を調べた。参加者は3歳から定期的にさまざまなテストを受けてきた縦断的調査の対象者である。 研究チームは、通常歩行や、二重課題歩行(アルファベットの文字を交互に声に出して読み上
日本のノーベル賞受賞者(受賞時外国籍者を含む)はこれまでに28人、そのうち科学分野だけで25人。アジアでは圧倒的な実績だが、当の日本においては「ノーベル賞強国」という名誉は昔の話になりかねないと憂慮する声が出ている。2020年代に入って受賞者がわずか1人となったうえ、国際的に注目される論文数も中国などに抜かれているためだ。日本の科学界は、研究領域が全般的に狭まったことを原因と見つつ、「このままではノーベル賞受賞者が急減する時代が来かねない」と懸念している。 日本を代表する理工系の名門大の変化もこうした危機感が背景にある。4月3日午前、小雨が降る中、東京・目黒区大岡山にある東京工業大の正門は入学式に出席する新入生と家族たちで混みあっていた。「東京工業大学」と刻まれたプレートの前で記念写真を撮ろうと、保護者と学生約100人が列をなしていた。行列に並ぶ人々の間からは「間もなく校名が東京科学大にな
Large language models can do jaw-dropping things. But nobody knows exactly why. コンピューター科学者は 大規模言語モデルをなぜ 「科学」するのか? 大規模言語モデルが破竹の勢いで成功を収めているにもかかわらず、こうしたモデルがうまく機能する仕組みや理由は、いまだによくわかっていない。コンピューター科学者たちは、その謎を解明することで次世代のAI技術の開発とリスク管理に生かしたい考えだ。 by Will Douglas Heaven2024.03.29 1 18 2年前、オープンAI(OpenAI)の研究者ユーリ・ブルダとハリー・エドワーズは、言語モデルに基礎的な算数をさせるには何が必要かを調べていた。2人は、2つの数を足し合わせる例題をいくつ見せれば、モデルは与えられた2つの数を足し合わせられるようになるのかを
アルマ望遠鏡が捉えたオリオン座のベテルギウス (c) ALMA (ESO/NAOJ/NRAO) /E. O’Gorman/P. Kervella[写真拡大] オリオン座のベテルギウスは最高光度0等だが、2019年に1.5等星まで暗くなり、超新星爆発の予兆だと騒がれた。その後も、明るくなったり暗くなったりを繰り返していたが、2019年ほどの騒ぎにはなっていない。超新星爆発は数世紀に1度しか、肉眼ではお目にかかれないため、ぜひとも見ておきたいと思うのは人情だ。 【こちらも】ベテルギウスに残された時間はあと300年か? 東北大らの研究 ベテルギウスがオリオン座の赤色巨星であることはよく知られているが、明るさが変化する変光星であると認識している人は少ない。ウィキペディアによれば、ベテルギウスは0等星から1.3等星の間で明るさが変化する星だ。最も明るい時と暗い時とで明るさに約3倍の開きがあり、明るく
文部科学省は26日、博士号取得者を3倍に増やす構想「博士人材活躍プラン~博士をとろう~」を始めると発表した。博士人材のキャリアパスの多様化や大学院改革、学生支援など44の施策を講じる。文科省は優れた博士人材の昇格ペースを加速する。産業界には採用拡大と処遇改善を働きかける。人口当たりの博士号取得者数を世界トップレベルに引き上げる狙いだ。 【表】「博士人材活躍プラン~博士をとろう~」の全容 法学博士と商学博士を持つ盛山正仁文科相肝いりの政策として始める。キャリアパスの多様化策としてジョブ型研究インターンシップ(就業体験)を柔軟化し、雇用した博士人材の人件費の一部を税額控除する研究開発税制の活用を広げる。総務省と連携して自治体での博士人材の実態を調べる。活躍事例を周知し、採用や環境整備を促す。科学技術教育に力を入れる高校では「博士教諭」としての採用も促す。 大学院改革では世界トップ水準の教育拠点
「男女の脳や発達は性差がない」というのは事実か否か?は別として現代先進国の主要な教義となっており、それに異を唱えるものは如何なる人間であれ異教徒として断罪を受けるようになっている。 1例をあげると2005年に全米経済研究所の会議で当時のハーバード大学学長であったローレンス・サマーズは「理系の高位な研究者は男性が多いじゃん?これはまず男性は女性と違ってよく働きよく学ぶことが原因だよね。次に本質的な違いとして男女の脳に性差はやっぱあるんだと思う。だって理系への関心や能力は男性の方が明らかに強いし、IQとかでも広い分布が見られるじゃん」と発言した。当然このような主張は圧倒的に否が多数の賛否両論を呼び、サマーズはハバード大学学長の不信任案を出され可決された。この間、僅か2ヶ月の出来事である。現代社会においては如何なる社会的地位を有する人間ですら表の場ないし公の場において、男女の脳や発達の性差を論じ
Marianne Guenot [原文] (翻訳:Ito Yasuko、編集:井上俊彦) Mar. 24, 2024, 03:00 PM サイエンス 138,621 地球から3000光年のところにある「新星」が、地球から見えるようになる。 かんむり座T星が今後数カ月以内に、最大1週間にわたって北極星よりも強く光るはずだ。 多くの人にとって一生に一度となるであろうこの事象を見るには、いくつかの準備が必要だ。 まもなくある星が爆発し、北極星よりも明るく光って豪華なショーを見せてくれそうだ。 この星は、地球から3000光年のところにあり、数カ月のうちに大爆発して「新星」になると予想されている。 NASAのコメントによると、一生に一度のこの天体ショーで見られる星は肉眼で見ることができるほど大きくなる可能性があるという。最大で1週間、見ることができる。
赤色超巨星ベテルギウスの姿を描いた想像図。太陽系ほどの大きさの巨大なガスのプルーム(噴流)を持ち、表面に巨大な泡ができている(ESO/L. Calçada) 北半球の冬の夜空に見える代表的な星座の1つ、オリオン座の「肩」の位置で輝く1等星ベテルギウスは、太陽系の最も近くにある赤色超巨星だ。 全天で10番目に明るい恒星と考えられているが、天文情報サイトのEarthSkyやSky&Telescopeが伝えている最新の研究結果によると、ベテルギウスの明るさが1月下旬から0.5等低下しているという。超新星爆発が間近に迫っているのだろうか。 ベテルギウスはオリオン座の「肩」の位置にある(Getty Images) 胸躍る展望 今すぐ爆発する可能性は低いが、今後10万年以内には間違いなくベテルギウスが超新星爆発を起こすことがわかっている。恒星の一生では、それは本当に間近に迫っているが、天文学者らは今後
東北大学の研究チームは、医用画像診断AI(人工知能)が診断を下す際に、答えは正しくても、AIが診断に至った根拠と専門医の所見が必ずしも一致しているとは限らないことを明らかにした。医学的に妥当でない不適切な根拠に基づく診断は、思わぬ結果を招く危険があるため、このような危険性を認識して対策することで、より安全性の高いAIの臨床応用が求められる。 研究チームは今回、AIが医用画像中のどこに注目して診断したのかを可視化する技術を用いて、その注目領域の医学的な妥当性を詳しく解析。先行研究で高性能を達成した深層学習モデルの注目領域と、医師の診断に基づく重要領域を比較した結果、深層学習モデルの高い分類性能に反して、その注目領域の30~80%は医学的な重要領域と無関係であり、両者に大きな齟齬があることがわかった。 医用画像診断へのAIの応用が進められているが、AIが訓練データから何を学んだかなどの詳細はこ
約1億人を調べた結果です。 デンマークの国立血清研究所(SSI)をはじめとした国際研究によって、新型コロナウイルスワクチンの健康リスクが示されました。 9900万人を対象とした史上最大規模の研究で、主としてファイザーとモデルナの開発したmRNAワクチンおよびアストラゼネカが開発したウイルスベクターワクチンの3種類でみられた、副反応13種が調べられています。 なお今回の記事はワクチンの有害性を強調するものではありません。 また最終的な結論として、ワクチン接種の利点が健康リスクを上回っていたことも、あえて先に述べてさせて頂きます。 その上で、新たに判明した副反応を報告します。 対象となる副反応は、心臓にかんする「心筋炎(MYO)、心膜炎(PER)」。 脳脊髄や末梢などの神経系にかんする「ギラン・バレー症候群(GBS)、横断性脊髄炎(TRM)、顔面麻痺(BP)、急性散在性脳脊髄炎(ADEM)、熱
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