ここまでに見てきたような動きは、いってみればモダニズムの第一波です。それは近代技術あるいは近代思想によって伝統的ゲームを再生産しようという潮流であり、本当の意味で伝統を塗り替えようとする試行ではありませんでした。古来人間はゲームに何かしら現実世界での意味付けをしようとするのが常で、だいたいにおいてそれは賭博か教育という形に落ちついていたわけですが、そういうゲームのあり方はこの時代に至っても変わっていなかった。あくまで実用性にゲームの意義を求め、それに適したデザインを優先する考え方は、むしろより強固になっていたとさえいえます。 しかしそんなのはゲーム本来の姿ではない――そう考える新しい世代のゲームデザイナたちが、やがて台頭してきます。変化はまずボードゲームの領域から起こりました。1880年代初頭、教育用ゲームの退屈ぶりにうんざりしたジョージ・パーカーというアメリカの少年は、ゲームは役立つもの