清水玄彦 ビッグデータという言葉に接する機会が非常に多くなっている昨今、統計学の重要性がますます高まっていると考えられます。統計学は確率論を基礎としていることから、高等学校などでは「確率・統計」とひとくくりで教えられていることが多く、また書店でも同様に扱われているように見受けられます。 「確率的思考」・「統計的思考」という言葉を目にしたことがあるのではないでしょうか。これらの言葉は同じような内容を示しているように考えられがちですが、少なからぬ違いがあります。以下では、これら二つの言葉の違いについて考えてみることにしましょう。これは「確率」と「統計」の違いを考察することにもつながります。 「確率的思考」において重要な概念は「リスク」です。リスクの定義の仕方については、過去色々な変遷がありましたが、ここでは以下の二つの条件を満たすものをリスクということにしましょう。第一に「何が起こるか結果が分