中国の習近平国家主席にとって最大の悲願は台湾統一だ。習氏は就任以来、「平和統一」を基本方針に掲げ、台湾企業などへのさまざまな優遇措置を強調、台湾の取り込み策を図ってきた。3期目の最高指導部人事を側近によって固めた習氏は悲願の実現を目指す。だが、平和統一路線は行き詰まりつつある。 20日朝、台北市。11月26日の同市議選に出馬する与党・民進党の公認候補、陳聖文氏(24)が「皆さんに奉仕する機会を私に与えてください」と訴えていた。手を振る市民に陳氏は笑顔で応じた。 中国は民進党を「台湾独立勢力」とみており、両者は激しい対立関係にある。だが陳氏はかつて「親中派」の青年だった。 葬祭業を営む陳氏の父は2013年、中国に進出した。同年、中国政府が台湾企業への優遇措置などを発表し、中国でも事業展開できるようになったためだ。台湾は当時、対中融和路線を取る国民党の馬英九政権。中台関係が改善している時期だっ