福田康夫首相が「消費者行政推進会議」を立ち上げて検討を始めた消費者行政の一元化構想は、最近になって登場したものではない。その源流は、1989年に日本弁護士連合会の消費者問題対策委員会が中心になって開いた人権擁護大会の決議にある。 日弁連の消費者問題対策委員会委員長を務めた宇都宮健児弁護士は、多重債務者問題に長年携わってきたことで知られる。たまたま弁護士会の相談窓口で消費者金融から過酷な取り立てに苦しむ依頼者を担当。依頼者の相談には何十社もの業者から借り入れたり、自殺を考えたりといった深刻なケースが多いことに気づいた。多重債務者事件の弁護士報酬は、わずか数万円程度。違法なヤミ金融の背後にいる暴力団幹部らの脅迫電話を受けることもあるにもかかわらず、年間100件以上の多重債務の相談を扱う。 99年結成の「高金利引き下げおよび多重債務対策を求める全国連絡会」(高金利引き下げ全国連絡会)や、2000