【寄稿】 認知療法・認知行動療法の 日本での現状と診療報酬への収載 大野 裕(慶應義塾大学保健管理センター・教授/厚生労働科学研究「精神療法の実施方法と有効性に関する研究」主任研究者) さまざまな場面で活用が可能な認知療法・認知行動療法 本年4月の診療報酬改定で認知療法・認知行動療法が保険点数化された。入院中以外の患者に対して,認知療法・認知行動療法に習熟した医師が一連の計画を作成し,患者に説明を行った上でその計画に沿って30分以上認知療法・認知行動療法を行った場合に1日につき420点を請求できるという内容だ。 この内容を見ると,習熟した専門医が行う治療技法としては点数が低いし,精神科を標榜していない保健医療機関でも算定できるというのは問題ではないかという意見もある。しかし,いくつかの懸念はあるにしても,具体的には実際の運用のなかで解決していくことが必要であり,まずはこうしたエビデンスに裏