マイケル・ジャクソンの遺作『THIS IS IT』が公開された。亡くなってから世界中で賛辞を送るのは馬鹿馬鹿しくもあるし、悲しい。あんなに元気だったのに、どうして死ななければならなかったのか全く理解できなかった。それにしても、ショーが成立していたら、ディズニーランド10個分のエンターテインメントになっていただろう。 今までも多くの天才が不幸な亡くなり方をしている。モーツァルトがそうだし、ジョン・レノンがそうだし、プレスリーだってそうだ。日本では美空ひばりがいる。グレン・グールドも幸福だったか分からない。次の詩はグレン・グールド「モーツァルトのファンタジーニニ短調」K397番を聴いて書かれたものである。 「ピアノをひくひと」 谷川俊太郎 ピアノをひくひとは おととおとのあいだで いきをつめて まっていた そのあいだに うみのそこでこんぶはゆれ おかのうえで しかがふりむき うらぎりものが