10連休のリレーエッセイ企画「忘れ得ぬあの人の言葉」。かつて好きだった人から受け取った、忘れられない言葉の想い出を振り返ります。今宵は、会社員兼ブロガーのはせ おやさいさんが、離婚へと進む道の途中で言われた忘れられないひとことを綴ります。 ■「お嫁さん」にただ憧れていた ありふれた話であるが、わたしは一度離婚を経験している。 相手は9歳年上の作曲家で、優しく繊細な人だった。結婚を決めた理由はたくさんあったが、離婚を決める理由もたくさんあった。それはもう大きなものから小さなものまで。数々の理由を総合すると、「わたしが幼かったから」と言い換えられるかもしれない。 30歳を過ぎてからの初婚なので、「幼い」という年齢でもなかったのだが、他にうまい言いようがない。結婚という言葉にただ憧れ、「お嫁さん」に夢を見ていた自分に、気が付けなかった。 いや、もしかしたら自分でも、自分の「お嫁さん」願望に薄々気