政権浮揚へ菅首相のギャンブル 東京オリンピックは開幕を1カ月後に控え、カウントダウンが始まる頃合いである。とはいえ、これまで開催に否定的だった世論が劇的に転換しているとは思いがたい。5年前、東京都知事選に野党統一候補として出馬し、あの「小池劇場」の熱狂と格闘した反権力のジャーナリスト、鳥越俊太郎さん(81)は、五輪を巡る政治と国民の隔たりをどう見ているのだろうか。 毎日新聞などが6月19日に行った全国世論調査では、東京五輪について中止や再延期すべきだとの回答が4割を超えた。無観客を求める声は3割超に達したが、菅義偉首相は「観客あり」の姿勢を崩さなかった。これでは人心は政治から離れていくのでは。そう水を向けると、鳥越さんが口を開いた。