第41回 優れた表現を襲う病んだ心 三島由紀夫 著『金閣寺』(新潮文庫) いったい何を言えば良いのか分からない──。 2019年7月18日、京都市伏見区にあるアニメーションスタジオ、京都アニメーションに暴漢が侵入し、大量のガソリンを撒いて放火。死者34名、負傷者34名という大惨事が発生した。 京都アニメーション、通称京アニは、21世紀に入ってから次々に秀作アニメーションを発表し、世界的にも高い評価を受ける、日本のアニメ制作における有力拠点であった。 私が最初に京アニ作品を知ったのは、同社初の元請け(同社が主体となって制作する)作品『フルメタル・パニック? ふもっふ』(2003年)だった。「ふもっふ」という妙な修飾で分かるように、この作品には『フルメタルパニック!』という元となったアニメ作品がある。同名の賀東招二・原作のライトノベル(富士見ファンタジア文庫)を、京アニとは別の会社がアニメ化し