森永康平 [ナウキャスト客員エコノミスト・経済アナリスト] Apr. 21, 2021, 06:40 AM ビジネス 6,223 日本国内で再び新型コロナウイルスの感染が拡大している。 新型コロナ特措法に基づく「まん延防止等重点措置」が、4月5日から宮城・大阪・兵庫、4月12日から東京・京都・沖縄、4月20日からは神奈川・埼玉・千葉・愛知で適用された。 4月20日までの直近1週間、1日を除き新規感染者数が1000人を超えた大阪府の吉村洋文知事は同日、緊急事態宣言の発出を国に要請することを決めた。 本稿では、まん延防止等重点措置や緊急事態宣言の「効果」を考えてみたい。 まだ公的な経済統計では3月分の結果が確認できないため、現金を含む消費全体を捉えた消費動向指数「JCB消費NOW」※や、位置情報を活用して人出を調べるためグーグルが提供しているモビリティレポートなど、いくつかのオルタナティブデー
文在寅政権の発足と軌を一にして燃え上がる韓国のフェミニズム運動「Kフェミニズム」。だが、女性運動家の中心は「反米・反日・自主統一運動」を基調とするNL系であり、これとラディカルフェミニズムを結合したものが「Kフェミニズム」の本質だ。女性の生活向上ではなく、上層部のエリート女性の権力と権限を強化する手段に過ぎない。韓国の作家でコラムニストのオセラビ氏がKフェミニズムを斬る。 (オセラビ:作家・コラムニスト) 韓国社会にフェミニズム運動の旋風が巻き起こって約7年になる。まさしく革命といえるほどの勢いだ。「7年」とは、新進のフェミニスト勢力であるヤングフェミニスト(Young Feminist)が大挙登場してからの年数である。 ヤングフェミニストは韓国の女性運動の歴史において、かつてないほどラディカルなイデオロギーで武装し、男性を攻撃し続けてきた。若い女性たちは植物に水を注ぐがごとくフェミニスト
記事によると 人事院は「首都圏の新型コロナウイルス感染拡大の影響で、地方出身の学生が地元の自治体や企業を志望するケースが増えたのが主な要因」と分析。コロナ対策で関係省庁の勤務環境が厳しくなった影響も考えられるとしている。 とのことです。 正直、人事院のコメントは意味不明で、コロナによる一時的なものだから自分たちの責任じゃないと言っているように聞こえて非常に残念です。 この問題について、しっかりと背景を見てみましょう。 1. 加速する志望者の減少 キャリア官僚の志望者は、今の試験制度になった2012年度から減少し続けていますが、その減少の度合いが加速しています。かつてはキャリア官僚というと東大出身者が多かったですが、明らかに東大生の官僚離れも進んでいます。 2. 離職増加 20代のキャリア官僚の離職者はこの6年で4倍に増えており、特にこの2年急増しています。2020年度の数字はまだ発表されて
フランスの歴代大統領にはシラク氏やマクロン氏など国立行政学院(ENA)出身者が圧倒的に多い。ENA出身者は通称「エナルク」と呼ばれ、政治家、官僚、国が筆頭株主の大企業トップなど社会の上層部を占めている。最高の学歴とされ、特権階級的な存在だ。 今年4月7日、マクロン大統領は自身の母校でもあるENAの廃校と新設上級公務員の教育と訓練を行う学校の新設の意向を明らかにした。 フランスではマクロン政権に講義する「黄色いベスト運動」が起こり、ENA出身者が多数を占める中央官庁の官僚エリートへの批判が高まった。この怒りを鎮めるため、マクロン氏は公約でもあったENAの廃校を検討すると表明。新型コロナウイルスの感染拡大でそのプロジェクトは忘れられていたが、再び動き出した。 欧州で最も中央集権的といわれているフランスで、いったい何が問題となり、何を変えようとしているのか。私もビジネス系のリーダー養成学校のグラ
「世界では年間18万人が糖分を含む飲み物の過剰摂取で死亡している」という調査結果がある一方で、人工甘味料にも「耐糖能異常を引き起こして糖尿病を引き起こす可能性がある」との指摘があり、甘みを求めるときには砂糖・人工甘味料のどちらを使えばいいのかはハッキリとわからない状態です。そこで、科学者によるファクトチェックを行うサイトであるMetafactが、8人の専門家に「人工甘味料は砂糖よりマシなのか?」との質問をぶつけて、その回答をまとめました。 Are artificial sweeteners better for you than sugar? - Metafact https://metafact.io/factchecks/1000-are-artificial-sweeteners-better-for-you-than-sugar ◆1:シドニー大学のジェニー・ブランド・ミラー氏「人
変わらない「分断」 アメリカではドラマに満ちた2020年大統領選挙の末、5人の死者と数百人の逮捕者まで出す騒ぎを経てようやくトランプ政権からバイデン政権への移行が実現したが、新政権発足後も二大政党間とその支持者の間の先鋭化した対立の構図は変わっていないし、変わる見通しもない。 「社会の分断」と言われるようになって久しいが、分断と対立からの「癒し」を掲げて当選したバイデン政権の下でも過熱した党派対立は続いている。 その両党が次に直接対決するのは来年の中間選挙であるが、しかし実は、現在進行中の、選挙法改正を巡る両党の争いが、中間選挙とそれ以降の両党の命運に非常に大きな影響を及ぼそうとしている。 下院選挙区割りをめぐる戦い 連邦議会下院の総議席数は435であるが、10年ごとに行われる国勢調査の結果に基づいて各州への議席数割り当てが計算し直される。 この再計算と再配分は10年ごとに自動的に行われる
日本学術会議をめぐる問題が解決の兆しが見えぬまま混迷を深めている。 菅義偉政権は2020年9月、6人の新会員の任命拒否で国民の関心を集めた上で、「日本学術会議のあり方を問う」と揺さぶりをかけた。だが、このやり方では同会議の現状に批判的だった元会長等も、立場上、学術会議を援護せざるを得ない。科学技術立国日本の崩壊を挙国一致で食い止めねばならない時機に、ことさらアカデミアと政府の対立を煽るのは百害あって一利なしだ。おまけに政府批判も学術会議批判も任命拒否問題を軸として回り始めた。 フレキシブルだった学術会議 筆者が訴えたいのは、国民の大多数から認められている自衛隊の存在や役割に、「社会全体では少数意見だが、ここ(=学術会議)では多数意見」との否定的な決議を続ける学術会議の浮世離れした実態である。早くも昭和30年代に自衛隊を認知し、役割分担を要請した創立期の学術会議は、もっとフレキシブルだった。
北のアラスカから南のフロリダ、そして太平洋の真ん中に位置するハワイまで、アメリカ合衆国にはさまざまな文化や生活様式を持つ50の州が存在する。さまざまな民族・人種が寄り集まったこの国は、州や地域によって気候や経済状況、人種構成だけでなく、支持政党や文化、食事さえも大きく異なる場合があり、また移民も多い。そのため、この国を「アメリカ(人)は~」と一概に語るのは困難である。そんなアメリカだが、州によって何と平均寿命にも大きな差があるという事実が判明した。 ◆1位と最下位では平均寿命差7歳近く 米疾病予防管理センター(CDC)が公表した統計によると、アメリカ全体の平均寿命は78.7歳(男性76.2歳、女性81.2歳)。男性と女性の平均寿命は5歳の差がある。 州ごと(ワシントンDCを含む50州と1特別区)に見ると、最も平均寿命が長いのはハワイ州で81歳、2位はカリフォルニア州の80.8歳だった。ここ
GEPRWorld map with China highlighted. World planisphere. Fear of new virus infection. Coronavirus. Sars. Contagion. Infectious disease. 2019-nCoV 菅首相の16日の訪米における主要議題は中国の人権・領土問題になり、日本は厳しい対応を迫られると見られる。バイデン政権はCO2も重視しているが、前回述べた様に、数値目標の空約束はすべきでない。それよりも、日米は共有すべき重要な認識がある。 第1に、CO2は中国の問題だ、という事だ。 中国の第14次5カ年計画の草案が3月に発表されて、CO2については2025年までの5年間でGDPあたりの排出量を18%削減する、としている。経済成長が年率5%とすると、2025年の排出量は2020年に比べて10%増大する、とい
最新の「ジェンダーギャップ指数」によれば日本の男女不平等ランキングは156カ国中120位。統計データ分析家の本川裕氏は「マスコミは女性がひどく差別される国=日本という論調ですが、国連の『ジェンダー不平等指数』では162カ国中24位で、米英などより順位は上でした。また、日本の男性より女性のほうが一貫して幸福度が高いという調査もあります」と指摘する――。 「日本はひどく女性が差別される国」は正しいのか 日本の男女不平等ランキングは、156カ国中120位……。 3月31日、スイスのシンクタンク「世界経済フォーラム」が作成した「ジェンダーギャップ指数」の最新データが公表された。「経済」「教育」「政治参加」といった分野での男女格差を指数化したものだ。日本の男女不平等の総合ランキングが156カ国中120位で、突出した男性優位社会(女性差別社会)という結果をマスコミ各社は大きく取り上げ、社説のテーマにし
DIは選挙のあり方、統治機構、政治参加、民主的政治文化、市民的自由の5項目によって民主主義の成熟度を評価する指標で、調査対象は165カ国と2地域(台湾、香港)である(The Economist; Intelligence Unit)。なお、GGI、HDI、DIはいずれも0〜1の間の数値で表され、1に近いほど良い。 また、DIでは民主主義の成熟度がその数値に応じて4つに分類される。すなわち、8点以上が完全な民主主義、8〜6点は欠点のある民主主義、6〜4点で民主主義と権威主義の混合体制、そして4点以下の権威主義体制である。 表のGGIに注目すると、トップ5カ国を先進国が占める一方、発展途上国の健闘が目を引く。しかし、男女平等が進むこれらの国の社会経済発展の度合いをHDI、民主主義の成熟度をDIからみると、途上国の著しい遅れがわかる。女性議員比率が61.3%で世界1位のルワンダ(IPU Parl
小泉進次郎環境相の発言が話題になっている。あちこちのテレビ局のインタビューに応じてプラスチック新法をPRしている。彼によると、そのねらいは「すべての使い捨てプラスチックをなくす」ことだという。 (フジテレビ)今回の国会でもう1つの目玉なのが、プラスチック資源循環促進法案ですね。プラスチック使用量を削減し脱プラ社会を目指すものですが、プラスチックスプーンやフォークの有料化に国民の関心が集まっています。 (小泉)日本では年間約1000万トンのプラスチック生産があって、そのうち排出、つまりゴミになるのは約900万トンです。そのうち使い捨てプラと呼ばれる容器包装が約400万トンで、その中にはペットボトル約60万トン、レジ袋約20万トンが含まれます。さらに使い捨てプラにはスプーンやフォークなどが約10万トンあります。 「なぜスプーンが狙い撃ちされるんだ」という批判に対しては、答えは明確です。スプーン
Ⅳ.日本の両院制のあり方−−制度改革の方向性 すでに述べたように、本稿では法律・規則・慣行レベルでの制度改革を中心に提案することとし、憲法改正については方向性のみ簡略に提示する。すなわち、図2などにある二院制の諸類型のうちどの類型の機能を日本の衆参両院は担っていくべきかを考えた上、それに必要な制度改革を法律・慣行レベルで具体的に提案する。 図2:リップハルト(2012)の二院制の類型 1.改革の全般的な方向性 図2の中でリップハルトは日本を第Ⅱ象限の「中間的に強い二院制」に分類した。しかし過去の研究やシミュレーション結果が示唆するように、第Ⅱ象限の二院制は、二院制のプラス面を十分に取り込むことができない。両院の構成が似通えば、たとえ両院の権限が同等レベルであっても、冗長(redundant)で「カーボンコピー」的な存在にしかならないからだ(McCarty & Cutrone 2008)。よ
論考 日本政治・行政 日本における二院制はどうあるべきか――「カーボンコピー」論と「強すぎる参議院」論を超えて/[第2部]日本の二院制をどう考えるか:分析の視点 March 29, 2021 民主主義 政治 制度転換 憲法 Ⅲ.制度改革を行う上で考慮すべき視点 それでは、日本の二院制はどう変えていくべきか? 維持すべきか? 従来の日本では二院制か一院制か、という議論が多かったが、上記で見てきたように、二院制の中にも様々な類型があり、政治過程で果たす役割も大きく異なってくる。二院制を維持する場合でも、法改正や運用を通じて、どのような二院制にしていくのか、という議論も非常に重要である。 一院制も二院制も、二院制の中の各類型も、民主主義の長い歴史の中で生き延びてきた制度であり、それぞれに長短があり、多面的な検討が必要だ。あるべき二院制あるいは一院制の姿を考える上で考慮すべき主要な視点を以下にまず
菅義偉首相が推進する「2050年温室効果ガス排出ゼロ」(カーボンニュートラル)が“家計を直撃”する。 太陽光や風力などの再生可能エネルギー(再エネ)の電力は、国の制度で大手電力会社による買い取りが義務付けされており、そのコストは電気料金に加算される形で国民が負担している。つまり、再エネの導入が進むほど家庭の電気料金は上がるのだ。 そこで問題となるのは、CO2をほとんど排出しない原子力発電と再エネ発電とのバランスだ。原発をどこまで許容するのか、判断が迫られている。 国内の部門別CO2排出割合は、発電が約40%、産業が約25%、運輸が約20%を占める。この中で経済性を問わなければ、発電部門と自動車(運輸)部門は技術的にCO2排出ゼロのメドが立っている。 菅首相は1月の施政方針演説で「2035年に新車販売をすべて電動車にする」と表明した。電動車の技術は確立しており、CO2を排出する化石燃料による
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日本人は欧米人とは違い、新築住宅が大好きだとよく言われる。「古い建物を大事にせず、スクラップ&ビルドを繰り返している、もうそんなことはそろそろやめてはどうか」という意見はよく聞かれる。また、「日本の住宅寿命は30年程度で諸外国よりも著しく短い」という指摘もある。しかし、データからは、そのような“新築信仰”は近年、薄れてきたことが読み取れる。なぜ新築信仰が薄れてきたのか、そもそも新築信仰とは何だったのかを考えてみたい。 日本人の新築好きの根拠の1つとして日本の住宅寿命が短い、ということが指摘されている。この「日本の住宅寿命は30年程度」という説は、いつ、どこから出てきたのだろうか。筆者が確認した限りでは、公的な調査での初出は恐らく1996年の建設白書だ。そこには「日本の住宅の寿命は、建築時期別のストック統計から試算してみると、過去5年間に除却されたものの平均で約26年、現存住宅の『平均年齢』
病床数世界一の日本で医療崩壊が起きる理由 (前編から続く) 【鳥集】ところで、森田先生は第三波が襲い、医療崩壊が騒がれる前から、日本の医療が抱える問題をいち早く指摘されてきました。日本は人口当たりで世界一の病床数です。また、コロナの陽性者数も、欧米各国に比べると数十分の一にすぎません。それなのになぜ、全国の重症者が1000人を超えたくらいで医療が逼迫してしまうのか。 【森田】それは日本の医療が機動性に欠けるからです。一般病床を感染の増減に応じて、柔軟にICU(集中治療室)やHCU(高度治療室)に転換するのが「縦の機動性」。そして、他科や他施設の医師・看護師をコロナ病棟に派遣したり、医療がまだ余裕のある他地域に患者を移送したりするのが「横の機動性」。 欧米の国々では、こうしたことを柔軟にやっているのです。にもかかわらず、なぜ日本ではできないのか。その大きな要因の一つとして、日本の医療機関は民
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