日韓の歴史問題を裁判で解決しようとすることは、果たして正しいのか―。そう疑問を呈してきた世宗(セジョン)大の朴裕河(パクユハ)教授(65)が8月末に定年を迎え、会見を開いた。彼女自身、慰安婦問題をテーマにした著書を巡って韓国で提訴され、法廷闘争が続いている。元徴用工訴訟などで葛藤が続く日韓の両国民に向けて「法に依存しなくても、謝罪と反省と記憶は可能だ」と呼び掛けた。(ソウルで、木下大資) 朴教授は2014年、著書「帝国の慰安婦」の記述が名誉毀損(きそん)に当たるとして元慰安婦らに告訴され、出版差し止めの仮処分や民事訴訟も提起された。刑事裁判の一審は無罪だったが、二審は「多くの慰安婦に強制動員はなかったと読者が受け止め得る」などとして罰金1000万ウォン(約100万円)の有罪判決を言い渡し、朴教授は上告。5年がたったが、最高裁は結論を出していない。民事は刑事裁判の結果を待って進行が止まった状