日銀が2007年以来となる利上げ局面に足を踏み入れようとしている。マイナス金利解除の時期は、賃上げの動向を見極めながら慎重に判断する構えだが、市場では「時間の問題」との捉え方が多い。むしろ焦点となるのは、その後どれくらいのペースで、どこまで利上げを進めていくかだろう。日銀はどう考えているのか。「意図的なビハインド・ザ・カーブ」「当然、その先も考えている」。日銀関係者にマイナス金利解除後の利上
要旨 10月6日に発表された8月の毎月勤労統計は、現金給与総額が前年比1.1%と鈍かった。ほとんど報道では、名目賃金のプラスよりも実質賃金のマイナスが強調される。政府や日銀は、どうしていずれ実質賃金のマイナスがプラスに転化していくものだと説明しないのか。その辺りの真意を考えてみた。 目次 いつも酷評される実質賃金 いずれ実質賃金はプラスになる 実質賃金が伸び悩む理由 日銀の要因 やはり2%目標は高すぎる いつも酷評される実質賃金 筆者の好きな本に「残念な生き物」の図鑑がある。生き物の中には、とても好ましい特徴があるのに、それが上手に役立てられていない者がいる。それが「残念だ」と言われる。同様に、経済統計の中にも、とても「残念な統計」がある。厚生労働省「毎月勤労統計」である。 2023年8月の現金給与総額は前年比1.1%とプラスの伸びであった。時系列の推移は、2%台から1%台へと鈍化してきて
元日本銀行理事の門間一夫氏は、長期金利の上昇圧力が一段と強まれば、日銀が30、31日に開く金融政策決定会合では、現在1%に設定している上限を引き上げるイールドカーブコントロール(長短金利操作、YCC)の再修正を行う可能性もあるとの見解を示した。フォワードガイダンス(政策指針)の変更もあり得るとみている。 みずほリサーチ&テクノロジーズ・エグゼクティブエコノミストの門間氏は5日のインタビューで、今後も長期金利の上昇圧力が続く場合、円安の進行を含め、1%の上限を維持するのに伴う副作用の方が大きいと判断すれば「上限の引き上げはあり得る」と語った。足元の国債市場では、YCCが誘導対象とする長期金利(10年物国債利回り)が2013年以来の0.8%まで上昇している。 具体的には、現在1%の連続指し値オペ水準の引き上げや「ゼロ%程度」の長期金利の誘導目標を0.25%などにすることが選択肢になるとした。目
アメリカの金利がグローバルな金融市場で再び主役になっている。9月下旬には10年金利が4.7%近辺まで上昇し、約16年ぶりの高水準に到達したことで、株式市場は打撃を被っている。 金利上昇については、しばしば「『良い金利上昇』と『悪い金利上昇』がある」などと区別される。前者は景気回復を伴ったもの、後者は財政不安に由来するなどとされているが、株式市場にとって金利上昇はすべて「悪」であると理解したほうがいいだろう。 それは取りも直さず、金利上昇(債券価格は下落)は株式の相対的な魅力を減じるからである。たとえ景気回復に裏付けられた金利上昇だったとしても、世界で最も安全とされるアメリカ国債を保有しているだけで現在のように約4.7%などという利回りが事実上無リスクで得られるなら、わざわざリスクをとって株式を保有・取得する必要性は薄れてしまう。 より本質的な「株価と金利の関係」とは? 一方、金融緩和が株価
家庭で消費するモノやサービスの値動きをみる消費者物価指数。 2023年8月の指数は、天候による変動が大きい生鮮食品を除いた指数が、去年(2022年)の同じ月より3.1%上昇しました。上昇率は7月から横ばいで、3%以上となったのは12か月連続です。 専門家は「これまでの物価上昇ペースが極めて速かったので、来年にかけては緩んでいくだろう。ただ、注意しなくてはならないのは、緩んでも上昇はするので生活への悪影響は続き、消費者にとっては厳しい」と話しています。 総務省によりますと、先月・8月の消費者物価指数は生鮮食品を除いた指数が2020年の平均を100として去年8月の102.5から105.7に上昇し、上昇率は3.1%でした。 上昇率は7月から横ばいで、3%以上となったのは12か月連続です。 このうち「生鮮食品を除く食料」は9.2%上がり、大幅な上昇が続いています。
ただ、市場関係者の間では、今回の買い入れ見送りは日銀による政策変更というよりも、これまでの方針に沿った対応との冷静な受け止めた方が多い。 日銀は21年3月に金融緩和政策を持続的に実施するための措置として、ETFの購入を事実上大幅に縮小した。約12兆円の年間買い入れ枠は維持したものの、22年度の買い入れ額は4907億円億円、21年度も5608億円とピークだった19年度の5兆9000億円と比べると10分の1程度にまで縮小している。 21年度以降の買い入れは、東証株価指数(TOPIX)が午前の取引で2%以上下落した日にのみ限定して行われている。今年度上期は午前の段階で2%以上下落した日が1日もなく、結果的にETFの購入が見送られた可能性が高い。 ニッセイ基礎研究所の井出真吾チーフ株式ストラテジストは「従来のルールに沿った動きで、日銀は当面この方針を変えるつもりはないだろう」とみている。今の日銀に
9月29日、新藤義孝経済財政・再生相(写真)は、報道各社の取材に応じ、「デフレ脱却宣言」の要件は経済指標だけでなく、総合的な判断になるとの考えを示した。写真は13日、都内で撮影(2023年 ロイター/Issei Kato) [東京 26日 ロイター] - 新藤義孝経済財政・再生相は26日の閣議後会見で、総合経済対策策定に関連し、4─6月期にプラス転換した需給ギャップ(GDPギャップ)について今後も「プラス傾向が続くか慎重な見極めが必要」と述べた。 内閣府が19日に発表した4─6月期のGDPギャップはプラス0.1%だった。1次速報時のプラス0.4%から下方修正されたが、プラスは15四半期ぶり もっと見る 。新藤経財相は「(GDPギャップは)プラスに転じたが、プラス幅は小幅」とも指摘した。
円安が進まなかった理由 大方の予想通り、植田日銀は9月22日の金融政策決定会合で、金融政策の正常化を見送り、引き続き大規模な金融緩和を維持する方針を決めた。直後の記者会見でも、植田日銀総裁は、自身が9月9日掲載の読売新聞のインタビューで「年末までに(金融政策の変更に必要な)十分な情報やデータがそろう可能性はゼロではない」と語ったと伝えられて以来、市場の一部で高まっていたマイナス金利政策の解除のタイミングが早まるのではないかとの観測も一蹴した。 意外だったのは、そうした植田日銀の頑なな姿勢にもかかわらず、円安が懸念されたほど進まなかったことである。 この背景として見逃せないのは、米国のイエレン財務長官が9月19日、「過度な変動をならす必要性を理解している」と述べ、日本の通貨当局による円相場を下支えするための市場介入に一定の理解を示していたという事情だ。イエレン発言を受けて、市場では、急ピッチ
22日の金融政策決定会合では、金融政策の現状維持を「全員一致」で決定した。議論の紛糾もなかったようで、12時前に終了していた。 たしかに事前のメディアのアンケートなどでは現状維持との見方が大半であった。 また、15日にブルームバーグが「植田総裁発言と市場解釈にギャップ、日銀認識ほぼ変わらず-関係者」との記事が出ており、市場がやや勝手に解釈しており、日銀の考え方は全く変化していない点を強調していた。 事情に詳しい複数の関係者への取材とあったが、これは日銀のいわゆる執行部からのコメントであったものと推察される。同様の説明がいわゆるBOJウォッチャーなどにもなされていたと思われる。 ということで、予想通りの現状維持となった。その後の総裁会見も、9日の読売新聞の総裁インタビューなどはなかったかのような内容となっていた。日銀としてはスタンスを変更しているような素振りはまったく見せたくはないというスタ
緩和バイアスのフォワードガイダンスは維持される 日本銀行は9月22日の金融政策決定会合で、大方の予想通りに政策変更を見送った。 対外公表分では、将来の利上げの地均しを意図して「必要があれば、躊躇なく追加的な金融緩和措置を講じる」という緩和バイアスのフォワードガイダンスを撤廃、あるいは修正するとの観測もあった。しかし実際にはこの文言は維持され、近い将来に本格的な政策修正が行われる可能性が低いことを示した。 他方、足元の高い物価上昇率は、「既往の輸入物価の上昇を起点とする価格転嫁の影響」との判断を維持している。高い物価上昇率は、賃金上昇を伴う国内要因主導での持続的な物価上昇率の高まりとは異なるメカニズムによる、との見方が維持され、2%物価目標達成はなお見通せない、との日本銀行の従来の見方に沿った判断が示された。 早期利上げ観測が燻ぶる 金融市場では早期の利上げ観測が燻ぶっている。2週間前の読売
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