歴史小説などで活躍する石川県珠洲市出身の挿絵画家、西のぼるさん(77)=中日文化賞受賞=が2日から、能登半島地震で被災した故郷を支援するチャリティー活動を始める。能登の松林を描いたオリジナルのアクリル画や、北方謙三さんの小説「三国志」に寄せた版画などを販売し、収益を寄付する。その思いに共感した北方さんが、本紙にメッセージを寄せた。 (林啓太) 珠洲市は震災で100人以上が命を落とした。同県白山市在住の西さんは難を逃れたが、3人の親族が津波にのまれたり、倒壊した建物の下敷きになったりして犠牲に。悲報に触れた西さんは、しばらくストレスで絵が描けなくなったという。しかし「『死』に組み敷かれたままではいけない」と前を向いたとき、被災者の置かれた境遇に心が痛み、「苦しみに寄り添いたい」と思い立った。 西さんは子どものころ、竹細工師の祖父と父が立て続けに死去。夜、海鳴りが地面を伝うように枕元に聞こえる