<著者は語る>データの独裁許すな 『ヤバい統計 政府、政治家、世論はなぜ数字に騙(だま)されるのか』 統計学者 ジョージナ・スタージさん 数字にはインパクトがある。「失業率5ポイント増」「外国人による犯罪件数が10万件増」。そう聞けば、誰もが不安を感じるだろう。しかし、疑問を持たずに、その数字を受け入れていいのだろうか。英下院図書館の上級統計学者、ジョージナ・スタージさんはあっさり否定した。「失業や犯罪の定義、さらには数え方で数字は変わる」 英国で失業の定義は30回以上も変わった。失業対策のアピールや失業手当の支給を抑えるために、政府が変えてきた。外国人の犯罪件数も排外的な人が数えれば、微妙な事案を犯罪に数えがちだ。同図書館の統計は世界で最も信頼度が高い部類だが、スタージさんは「数字を作るのは結局は人。適切に数えるのは難しく、不確かな統計で政策を誤らせたケースは枚挙にいとまがない」と肩をす