ジェイムス・ブレイクとブルーと808とジャスティン・ヴァーノンと : キープ・クール・フールいろいろなところで、いろいろな人が絶賛しているJames Blakeのデビュー・フル・アルバム『James Blake』。僕も3月に入手して以来、ずっと聞き続けていて、2011年のベスト・アルバムの最有力候補として何か書きたいと思っていたのだけれど、もう5月も半ば。いろいろな人が、いろいろなところで絶賛し尽くしてしまったので、ここはひとつ、妄想も交えながらちょっと違った切り口で書いてみようと思う。 内省的で静謐――ダブステップ界期待のホープとして迎えられたはずのこのアルバムは、しかし蓋を開けてみれば、驚くほど沈んだ内容で、なかには期待を裏切られた人もいただろう。僕もアルバム・デビュー前の、ビートのきいたダブステップ曲は聞いていて、そのギャップには確かに驚いた。ただ、沈み込むような超スローなダブステップのビートも、ふっと聞き手の心の隙間に入り込んでくる美しい間の取り方も、多重録音の豊かなヴォ
