YouTubeをつけるとCMが15秒間スキップできず、やっとスキップを押したと思ったら2本目が始まる。1日で最もイラっとする瞬間かもしれない。プレミアム登録をすればYouTubeの広告を避けられるが、最近ではNetflixが「広告付き月額790円プラン」を打ち出すなど、あらゆるところに広告が進出してきているようにさえ見える。 しかし実は、今起きているのは実は真逆のことである。Twitterを買収したイーロン・マスクの苛烈なリストラやメタ、Amazon、Googleの人員規模縮小の動きはすべて『無料でどうぞ、でも代わりにCMを見てくださいね』という広告モデルの破綻から始まっている。 私たちはこれからも広告を見せられ続けるのか、それとも月額の支払いが必要になるのか、それともお金を払った上で広告を見るという状況に追いやられるのだろうか……。 「広告を見る代わりに無料で楽しめる」時代は終わった イ
話を聞いた場所は、彼女が暮らしているアパートだった。最寄り駅からは車だけが交通手段という地区に、2階建てのアパートがあった。 周囲は畑で、一見するとのどかな空気に包まれていた。アパートの玄関側はちょうど北向きで、上州名物の空っ風が容赦なく吹きつけてくるのだろう、ひんやりとしていた。ピンポンを鳴らし彼女がドアを開ける刹那、微かにパクチーの匂いが隙間から漏れてきた。 「ハロー、ウエルカム」 南国育ちの彼女には日本の寒さは想定外なのだろう、黒い毛糸帽を被り浅黒い肌をしたエーが笑顔で迎えてくれた。 部屋は玄関を開けてすぐにキッチンがあり、その向こうに6畳ほどの部屋がある、1Kの部屋に親戚の女性2人と暮らしていた。 エーによれば、彼女の暮らす部屋を含めてアパートには10部屋あるが、フィリピン人やネパール人など外国人がほとんどだという。そんなアパートの住民の構成にも外国人が多く暮らす街の特徴がよく現れ
◆◆◆ 温泉地で摘発された「売春強要」事件 織田信長の鉄砲三段撃ちで知られる長篠の戦いに従軍した武田方の将兵たちが、戦によって受けた心と体の傷を癒すために整備されたという伊香保温泉。それから450年近い年月を重ね、行き交う人々の装いは変われど、温泉に魅了される人々の心は変わらない。コロナの流行が終わる気配をみせない時期でも、歴史ある石畳には多くの観光客の姿があった。 300段以上あるという石段は、ライトアップされていて、温泉宿から流れ込んでくる湯気が、旅情を掻き立てる。そんな景色に身を置いていると、このまま温泉にでも入って、のんびりしたいなという気分になってくる。 私が伊香保を訪ねたのは、今から4年前に起きたとある事件と色街としての温泉地に興味を持ったためである。 事件とは、2016年の11月から12月にかけて、伊香保温泉のスナックで就労資格のないカンボジア人女性7人に売春を強要し、入管難
初心者へのコーチングで、仲間内で「上下関係」が 初心者が練習に打ち込んでいると、いつの間にか後ろにポジショニング。タイミングを見計らいつつ、同じ趣味を持つ仲間という雰囲気で声をかけ、自己流のアドバイスを始める……。 このような行為は、見方によっては「気さくで、教え好きな親切な人」でもあるのだが、なぜ最近になって「教え魔」として問題視されるようになったのか。 プロコーチの資格を持ち、都内のボウリング場で働く赤塚一紀さん(仮名)に話を伺った。 「上級者が初心者に対してアドバイスすることは自然なことで、何も悪いことではないと思います。ただし、アドバイスしていいのは初心者から『教えて欲しい』とお願いされた場合に限るんです」 教え魔の「魔」たる所以は、自分から「教えてあげようか」と近づき、知識や経験でマウンティングしてくるからなのだ。 「ボウリング場で多いのは、見ず知らずの人にいきなり声をかけるタイ
明訓のチームメイトである岩鬼正美の「悪球打ち」や殿馬一人の「秘打シリーズ」にはじまり、対戦相手でも坂田三吉の「通天閣打法」や、不知火守の「ハエ止まり」など様々に魅力的な一撃が作中を賑わしてくれる。 中でも山田の相棒、里中智が投げる魔球“スカイフォーク”は当時からファンの間での人気も高かった。 スカイフォークはアンダースローの里中が投げる“浮き上がる”フォークボールのことだ。 サブマリンらしく地面ギリギリでボールをリリースし、下手投げの特性を活かして一度高く浮き上がった球が急激に打者の手元で落ちる。手首が極端に柔らかい里中の特長を生かしたボール、というのが作中での説明だ。ちなみに最初にそのボールの餌食となったのは、巨人時代の松井秀喜である。 里中自身の人気もあったとはいえ、打者がボールに当てることもできない「消える魔球」というのは、なかなか夢があるのはよくわかる。 オールスター戦で初披露した
「マンガの二次創作が必ずしも著作権侵害になるわけではない」 商業マンガにとって、同人誌などに掲載される「二次創作」は、市場を涵養する意味では重要だが、それと同時に厄介な存在だ。 二次創作とは、主にマンガやアニメの設定やキャラクターを使って、著者以外が新たなストーリーを作ることを指す。厳密には好きなマンガのイラストを描く「ファンアート」も二次創作に該当する。 いまや二次創作の盛り上がりはマンガの売れ行きと連動するが、著作権的にはグレーな領域でもある。 同人誌の市場規模はいまや1000億円近いとも言われ、東京ビッグサイトなどで行われるコミックマーケット(コミケ)は4日間で75万人を動員するイベントとして完全に定着している。 去る10月6日に知財高裁で興味深い判決が出た。訴訟は、BL同人誌の作家が、無断で作品をインターネットにアップロードして広告収益を上げていたサイト運営企業に対し、損害賠償を請
経産省関係者が明かす。 「表沙汰にはなっていませんが、実は谷さんは8月3日付の辞令で経産省の産業技術環境局国際室に異動になりました。役職は筆頭課長補佐で、ノンキャリアの職員としては栄転と言えます」 谷氏は、経産省から出向する形で、安倍昭恵夫人付きの職員となり、森友学園の国有地取引を巡る問題では、自ら財務省に問い合わせ、籠池泰典理事長(当時)にFAXでその結果を連絡していた人物。森友問題を巡っては、安倍晋三首相が「私や妻がこの認可あるいは国有地払い下げに、もちろん事務所も含めて、一切かかわっていない。私や妻が関係していたということになれば、私は、それはもう間違いなく総理大臣も国会議員もやめる」と国会で答弁しており、谷氏のFAXが昭恵夫人の関与を示すものではないかとして、昭恵夫人や谷氏の証人喚問を求める声があがった。 しかし、谷氏は、森友問題の渦中だった2017年8月にイタリアに異動。経産省は
動画には「描写がステレオタイプ的だ」「複雑な背景をあまりに簡略化している」との批判が相次いだ(NHKは9日に動画を削除し、謝罪)。中には、米国の人種差別の実態を理解するには、「制度的人種差別」を学ぶことが欠かせないとする声もあった。 BLM運動や米国の人種差別についてより詳しく知るため、米国史の専門家で、米国研究者がNHKに提出した同動画への要望書の呼びかけ人の1人でもある一橋大学教授の貴堂嘉之先生にお話を伺った。 ◆ ◆ ◆ 社会構造に組みこまれている「制度的人種差別」って? ——白人警官によるジョージ・フロイドさんの殺害、そしてその後のBLM運動を受けて米国では「制度的人種差別」についての議論が活発に行われています。「制度的人種差別」とは何か、教えてください。 貴堂嘉之先生(以下、貴堂)英語ではinstitutional racism(インスティトゥーショナル・レイシズム)というのです
「まるで祖父と孫の対決のような光景ですね」 解説者の韓国の女流棋士からは「かわいいですね」という声が対局中、何度もこぼれた。 2月3日、旧正月の特番(「K囲碁」)で韓国の伝説といわれる名棋士、曺薫鉉(65歳)九段と今年4月1日からプロ棋士としてデビューする仲邑菫さん(9歳)の対局が放映された。 ソウル市の名門道場に7歳の頃から留学 1月5日、日本棋院が仲邑菫さんをプロ棋士として採用すると発表した。「英才特別採用推薦棋士」の第1号で、10歳0カ月のプロ棋士誕生は日本史上初。この制度は世界で戦える才能ある棋士を育てていく目的で新たに設けられたものだ。 女流棋士ではこれまで藤沢里菜四段(女流棋士本因坊、21歳)の11歳6カ月での入段(プロ入り)が最年少記録で、韓国ではチョ・ヘヨン九段(34歳)の11歳10カ月が最年少記録。この記録を打ち破るきら星登場のニュースは韓国でも駆け巡り、仲邑さんが入門し
しばらく前に、「新宿駅の構内で女性ばかりにわざとぶつかる男性」の動画が話題になっていましたね。 あの動画を見て「これ、やっぱり被害に遭うの自分だけじゃなかったんかい!」と思った人、特に女性はたくさんいたと思うんです。私もその1人なんですが。知り合いの男性たちにこういう話をしても「えー、そんなわざわざ体当たりするような人いる?」とか「たまたまぶつかっちゃっただけじゃないの?」とか言われるし、なかなか理解されずもどかしい思いでいたのですが、女性に聞くと大体「あ、いるいる!」と共感してもらえるので、多くの場合、彼らの狙いはやはり女性なのでしょう。 金髪鼻ピアスの女子プロレスラー的風貌の友人は しかも、女性の中でもよく被害に遭う人とそうでない人に分かれます。どうやら標的になりやすい女性に共通する特徴として、「ぶつかっても何も言われなそう」「派手な格好ではない」「小柄である」などがあるみたいです。地
今年(2018年)12月8日に可決された入管法の改正問題もあり、メディアでは外国人技能実習制度への批判の声が上がっている。「技能実習」「国際貢献」といった建前とは裏腹に、実質的には人手不足に悩む日本の中小企業に低賃金労働者を送り込む制度と化していることはご存じの通り。問題が極めて多い制度であることは言うまでもない。 私は2017年末ごろから、この技能実習生問題に関連する仕事が増えた。なかでも印象に残った取材相手が、今年の春に『Newsweek 日本版』の特集記事で取材した范博文だった(『Newsweek』の記事の表記は「範博文」)。 辞書をまるごと暗記した達人 彼は中国内陸部の江西省南昌市出身の29歳の労働者だ。学歴は高等専科学校卒(事実上の高卒)で、直近の職業はガードマンである。 范とは中国のSNS『QQ』の技能実習生コミュで知り合ったが、なぜか異常なほど日本語の読み書きができた。通常、
課金ゲームは中国人の実生活と似ている? 中国のネット企業の規模は日本のそれどころではなく、世界を代表する米国のGAFAに迫る勢いですが、その多くはゲーム部門で収益を得ています。例えばLINEのようなメッセンジャーアプリ「WeChat(微信)」で知られるテンセント(騰訊)も、定番ポータルサイトで知られたネットイース(網易)も、ゲームが大きな収益の柱になっています。 金をつぎ込めばつぎ込むほどプレーヤーが強くなるゲームというのは、中国人の実生活とも似ていて、のめりこむ人が多いようです。日本よりずっと格差社会の中国では、札束と知識は「リアル人生ゲーム」でプレーヤーを強力に育てることができるのです。金を出せば出すほどよい教育が受けられ、札束でビンタをするかのように人を動かすことができるといいます。 中国杭州で行われたゲーム・アニメイベントの様子 ©山谷剛史 「サクラ大戦」の続編開発が発表され……
生き残りをかけた英断? 産経新聞が2020年10月をめどに、販売網を首都圏と関西圏などに限定して縮小する方針を固めたという。販売エリアの縮小で販売収入は減るものの、それ以上に輸送コストが大幅に削減できる。それが今回の措置の狙いだと。 《中部地方を地盤とする中日新聞のような、東京・大阪を基盤とする文字通りのブロック紙になっていくのではないか。》という見立て。 記事を書いたファクタ出版の社長は「厳しい紙媒体の中で、生き残りをかけた英断では?」と解説してくれた。 実はこの話、ほかでも読んだ覚えがあった。 思い出した。2週間前の「週刊文春」だ。 《「来年は内定3人」「全国紙の看板を下ろす!? 産経新聞社長の正論」(11月15日号)》 「10月の臨時社員大会で社長が発表」「紙の全国紙からデジタルのハイブリッドに業態を変える」「それに伴い不採算地域で配達を停止する」と小さい記事だがしっかり書いていた。
ますます厳しくなるウイグル人への締め付け トルコ系のウイグル人が多く住む新疆は、チベット・内モンゴルなどと並び、20世紀なかば以降にやっと中国政府による直接支配が確立した地域なので、少数民族の間では独立や自治獲得を望む意向が強い。 だが、中国では1989年の六四天安門事件後、国家の引き締めのために漢民族中心主義的なナショナリズムが強化され、また経済自由化のなかで辺境地帯の資源・都市開発や漢民族による移民が進んだ。結果、2010年前後からは追い詰められた少数民族による大規模な騒乱が増えた。 少数民族のなかでも、イスラム教を信仰するウイグル人は、中国共産党にとっては「党以外の存在」に忠誠を誓っているように見える。彼らは人種や文化習慣の面でも漢民族との隔たりが大きく、中央アジアや中東との結びつきも強いことから、他の少数民族以上に強い警戒を持たれている。 結果、近年のウイグル人への締め付けはいっそ
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