そろそろ記憶も怪しくなってきたので、集合denについて書き留めておこう。 集合denは、東京教育大学のデザインの教授だった勝井三雄さんが、講談社が科学大辞典を編纂する際、学生たちを集めて大塚伝通院(新選組がはじめに集まった場所だ)の裏手の一軒家で作業を始めたのが母体になっている。印鑑は「傳」、ロゴは赤い正方形が二つと長方形が二つ、等しい隙間を置いて並んだデンマークの国章だった。 ぼくは芸大を出て美術家として生きていくつもりで、かといって美術家としてのしあがろうという意欲もさしてなく、フロムAで見つけた小さなデザイン事務所でバイトして生活していた。 あのころは雑誌の時代だった。そんなころに雑誌デザインをするとき、教科書(憧れ、あるいは模倣の対象)は、GORO、写楽、流行通信のK2デザインと、マガジンハウスの集合denのデザインだった。 そんななか、たまたま飲みで知り合った集合denにいるB.