「大将」「キザ」「教授」「ドク」というあだ名の、それぞれに背景のある4人の「じじい」。人里離れた山奥の一角の土地の、独立した家屋とキャンピングカーにポツリポツリと集まってきて暮らしている。4人が顔を全て揃わせるのは週2回程度。それぞれ独立独歩だが緩やかに交流がある。 ここは「じじいの楽園」である。 その「じじいの楽園」に少しだけ年下の「美女」(「お嬢」)が突然やってくる、という物語だ。 僕らが恋をしたのは(1) (Kissコミックス) 作者:オノ・ナツメ 講談社 Amazon この話が読んでいて快楽なのは、まず何より、この集団・この空間が「楽園」のように思われるからである。 前の記事で挙げた定年後の人生。年金というベーシックインカムを充実させ、住居費という経常経費が抜本的に軽減され、医療・介護の負担が「ない」と想定されたとすれば、それはすなわち共産主義的楽園をイメージしうる。 kamiya